悪性リンパ腫(ホジキン病 非ホジキン病)のポイント

症状イメージ

日本はほとんど非ホジキン病が多い

●悪性リンパ腫(ホジキン病 非ホジキン病)はどんな病気か

悪性リンパ腫は全身のリンパ節やリンパ組織に発生するがんです。ホジキン病と非ホジキンリンパ腫に分けられますが、 日本では非ホジキンリンパ腫がほとんどです。3~10歳の発病が過半数を占め、女児よりも男児に多くみられます。  主に首や、縦隔(じゅうかく)、腹部に多く発生します。体の表面近くのリンパ節がはれてくることが多いのですが、 腫瘍の発生する場所によって症状が異なります。縦隔(じゅうかく)では、胸部X線検査でたまたま発見されることもあります。

●悪性リンパ腫(ホジキン病 非ホジキン病)の症状の現れ方
首、腋(わき)の下、足のつけ根などのリンパ節から発生した時はグリグリとしたしこりができますが、痛みはありません。 そのほか、付近の臓器を圧迫してさまざまな症状を起こします。  縦隔の場合、初期はほとんど無症状で、腫瘍が大きくなると呼吸困難や顔面のむくみ、食べ物が飲み込みにくい といった症状が現れます。腹部では腸が圧迫されて腹痛、おなかが張るといった症状がみられます。また発熱、夜間 発汗、体重の減少などを伴うこともあります。

①ホジキン病
●ホジキン病とは
ホジキン病はリンパ腫の1種で、リード‐シュテルンベルク細胞と呼ばれる特殊ながん細胞を特徴とします。 原因ははっきりしませんが、遺伝、放射線療法または化学療法などの治療歴など免疫が低下している人、ウイルス感染 (エプスタイン-バーウイルス型結核菌,ヘルペスウイルス6型,HIV感染)が関与しているといわれています。 リード‐シュテルンベルク細胞に転化するためという考え方もあります。10歳以下には少なく15~34歳と60歳以上の人に みられます。

②非ホジキン病
●非ホジキン病とは
リンパ球からできる癌でホジキン病をのぞく全てのガンをさします。原因はホジキン病と同じくはっきりとしていませんが、ウイルス 感染説などか有力です。

●ホジキン病・非ホジキン病の症状は
一番見られる症状は痛みを伴わないの頸部リンパ節の腫れです。とくにアルコール性飲料を飲んだ直後に病変部位の痛みが 生じてみられることがあります。早い時期にかゆみが起こったり、全身症状には,発熱,寝汗,体重減少(過去6カ月の体重 の10%以上)などがあります。これらは体内部(縦隔または後腹膜)のリンパ節,内臓(肝臓),または骨髄への浸潤がおこっ ていることを示しています。脾腫や肝腫がみられ、時に,ペル-エブスタイン熱(2,3日の高熱と,数日から数週間の平熱また は平熱以下の体温を規則的に交互に繰り返す)がみられます。首のいたみ→椎骨の造骨性病変(象牙椎)や,まれに 骨溶解性病変や圧迫骨折に伴う痛みがおこることもあります。 腫瘍の塊による局所圧迫から胆管閉塞に続発する黄疸、鼠径部のリンパ管閉塞で下肢の浮腫、気管気管支の圧迫 から呼吸困難や喘鳴、肺実質への浸潤に続発する肺空洞化や肺膿瘍などの症状をしばしば引き起こすします。 脊髄の圧迫から麻痺が引き起こったり、腫大したリンパ節が頸部交感神経や反回喉頭神経を圧迫して、ホルネル症候群 (脳神経による眼球運動障害)と喉頭麻痺が起こることがあります。 子供の場合は最初は貧血、発疹、筋力低下、知覚異常などが骨髄、血液、皮膚、腸、脊髄に進むために起こってきます。 とくに非ホジキンの方が消化管と皮膚に進みやすく、その症状が強いです。

●悪性リンパ腫(ホジキン病・非ホジキン病)の診断と分類
腫大化したリンパ節生検、骨髄生検で、ホジキン病か非ホジキン病か また非ホジキン病のなかには低悪性度~抗悪性 度までいろいろな悪性度があるのでその確定診断をつけます。また治療方針を決めるため病期診断を行います。
Ⅰ期
リンパ節領域1個所のみ
Ⅱ期
横隔膜の同じ側の2個所以上のリンパ節領域
Ⅲ期
横隔膜の両側のリンパ節,脾臓,またはその両方
Ⅳ期
リンパ節外の浸潤(例,骨髄,肺,肝臓)

●悪性リンパ腫(ホジキン病・非ホジキン病)の治療
抗がん薬などの薬剤を組み合わせた化学療法が中心です。ホジキン病では、腫瘍の部位が限られている場合は放射線 照射による治療が行われ、治療成績が向上しています。非ホジキンリンパ腫では、がんの組織診断と病気の広がりによって 最も適した化学療法が決められます。外科的治療や放射線照射は不要なことが多く、化学療法を優先します。 治療の進歩により、早期のものはもとより、進行したものでもかなり治るようになりました

●早期発見が大切です
かぜにかかってもいないのに首などのリンパ節がはれて大きくなる時は、小児科の医師によく調べてもらうことが必要です。 胸やおなかの症状が気になったら受診します。できるだけ早期に抗がん薬の治療を開始することによって治癒率は高くな るので、他のがんと同様に早期発見・早期治療が大切です。