自閉症(自閉性障害)

症状イメージ

自閉症(自閉性障害)のポイント
●自閉症(自閉性障害)とはどんな病気か
脳の発達・成熟が障害されることにより、心を通わせることが不自由な、3歳までに発症する神経発達の病気です。子どもの0・1~0・2%にみられます。  自閉症の子は、あたかも自分の世界のなかで生きているかのようにみえ、他人に興味を示すことが少なく、社会性に乏しい傾向があります。また、日常生活の決まりにこだわり、奇妙な行動を繰り返します。コミュニケーションが苦手で、視線を合わすことを避け、他人に愛着を示しません。 人と関わることや、自分の気持ちを伝えたり相手の気持ちをくみとることが苦手のため行動も自分勝手に見えることがあります。普通の喋り方やコミュニケーションのもち方、人や物事への適切な関わり方を習得することはがとても困難な病気です。

●自閉症(自閉性障害)の原因は何か
自閉症は生まれつきの脳障害です。脳内の情報処理の仕方に 障害があります。両親の育児のやり方や家庭環境などでおこる病気ではありません。 ことばと感覚情報とを処理する脳の部位に問題があるともいわれています。自閉症関連遺伝子も発見されていますが全てにあてはまるものではありません。 父親が高齢(40歳以上)での出産だと20歳以下とくらべ自閉症になりやすいという報告もあります。 大脳の感覚野と扁桃体のあいだの連絡が正しく行なわれない為に、外部刺激に対する反応が正常に行なわれず、極端な感情反応を示すことになるとも考えられています。 自閉症は心理的な原因で生じる情緒障害ではありません。

●自閉症(自閉性障害)の症状の現れ方
①ことばの発達が遅れる
ことばは発達は遅れます。話し方には独特のパターンがあり普通とは 違うことばの使い方をします。変な比喩を使ったり、気持ちがこもっていないと誤解されるような 話し方をしたりします。

②人とのかかわり方が分からない
自閉症の子どもは、視線をそらしたり、抱っこされることを 嫌がったり、周りの世界に無関心のように見えたりすることが よくあります。他の子どもと協調して遊ぶということができません。友情を育んだり人の気持ちを理解 することが苦手です。

③感じ方に一貫性がない
自閉症の子どもは、耳が聞こえず、ことばや音に 反応しないように見えることがよくありますが聞こえていないのではありません。掃除機の音や犬の吠える声などを とても嫌がることがあります。また、痛みに鈍感であったり、 寒さや暑さを感じなかったり、逆にこれらに過敏に反応 したりします。

④知的機能がかたよって発達する
自閉症の人は、描画・音楽・計算・記憶力(ただしそれが 持つ意味には無頓着な憶え方で)などで全体の能力と比べると 不均衡に突出した能力を持っていることがあります。一方で、 様々なレベルで精神遅滞を伴っ ている患者さんも多く、平均かそれ以上の知的能力を持つ人は2割 くらいです。でも一方で興味をもつ事を学ばせると驚くべき才能を発揮することもあります。

⑤活動と興味が限られる
自閉症の人は、手をひらひらさせたり、体をくねらせたり、 くるくる回ったり、前後に体を揺すったりなどの動作を繰り 返すことがあります。また、同じ道順、同じ着替えの順序、 同じ日課などのこだわりを持つこともあります。これらの 決まり事に少しでも変更が加えられると、自閉症の人は、 たいへんな苦痛を感じます。ですから生活をきちんとさせるためには教える側がこのことをきちんと理解して教えることが大切です。 学習に抵抗を示す一方、数学や音楽、芸術、記憶に非凡な才能をみせることがあります。

●自閉症(自閉性障害)の検査と診断
言語や社会性の発達に遅れがあるかどうかを判断します。さらに、出生から現在までの医学的情報、診察所見、血液検査、頭部画像検査、心理発達検査などにより、自閉症かどうか、合併する身体の病気はないか、総合的に診断します。 自閉症スペクトラム指数(AQ)という自閉度(自閉症傾向)を測る指標の一種ををもちいることもありますが、これだけで自閉症と診断できるのではありません。

●自閉症(自閉性障害)の治療の方法
自閉症を治療するためには家族が自閉症に対して理解を深め、本人が理解しやすいような言葉のかけ方、話し方、生活指導の仕方などを勉強することが大切です。 「TEACCH」「ソーシャルスキルトレーニング」などの各種プログラムなどによって、健常者に近い社会生活が送れるようになる場合もあります。 また自閉症をかかえるご両親同士がインターネットなどを通じてコミニュケーションをとることが大切です。

●言葉でのコミュニケーション
言葉のみでの意味の理解が難しいことが多くあります。例えば、「ちょっと待って」といった抽象的なことや「お茶碗とお箸を棚にしまってコップを流しに持って行って」等の長い文章の理解などです。  他にも、言葉をそのままの意味で理解してしまい、お母さんに火にかけた鍋を「見ておいて」と言われて、見てるだけで鍋を焦がしてしまった、ということも起こりえます。こうした際の支援としては次の点がポイントとなります。
◎具体的な言葉で伝える
「ちょっと待って」「あそこにしまって」という抽象的な言葉よりも、「3分待って」「黄色の引き出しにしまって」という具体的な言葉で伝えましょう。

◎簡潔で短い文章で伝える
長い文章よりも、簡潔で短い文章で伝えるようにし、一度にたくさんのことを言わないようにしましょう。

◎図示やジェスチャーで伝える 
言葉だけで難しい場合は、その人にわかる手段を使って接しましょう。
言葉でのコミュニケーション もどる|  言葉のみでの意味の理解が難しいことが多くあります。例えば、「ちょっと待って」といった抽象的なことや「お茶碗とお箸を棚にしまってコップを流しに持って行って」等の長い文章の理解などです。 他にも、言葉をそのままの意味で理解してしまい、お母さんに火にかけた鍋を「見ておいて」と言われて、見てるだけで鍋を焦がしてしまった、ということも起こりえます。こうした際の支援としては次の点がポイントとなります。

●人とのやりとりを教えることが大切です
集団での活動なのに自分の作業が終わると勝手に席を離れたり、相手が飽きたり疲れていてもかまわずに質問攻めにして困らせるなど、人とのやりとりにつまずくことがあります。  「状況を察すること」や「相手の気持ちを理解すること」といった、社会的なルールを暗黙裏に了解することに難しさがあるのです。

◎やって欲しいことは具体的に伝える
お願いがあるときは、「仕事が終わったら、A君のお台所の手伝いね。」など、具体的な表現で伝えましょう

◎他人の気持ちと話のルールをおしえる
気持ちについて、次のようなことを教えましょう。 相手にも、自分にも気持ちがあること 相手と自分の気持ちがいつも同じとは限らないこと

話のルールを教える  会話のやりとりの仕方について、「一方的に話さない」「返事を聞いてから話す」などのルールを教えましょう。 でもこれは僕を含めておしゃべりさんはみんな習わなければならいルールかも(^<^)

●行動パターンを知りこだわりを解く
急な予定の変更や毎回変わる活動は、見通しがつかないことなので苦手です。そのため、反対に「部屋に入る前に必ず靴を裏返す」等の行動がパターンやこだわりになることもあります。  しかし、あらかじめ決められたルールや手順などをいったん理解し、納得すればスムーズに行動できるようになることがあります。
◎最初に正しいやり方を教え見通しをつたえる
その他に、感覚のとらえ方が過敏過ぎたり、反対に鈍すぎたりすることがあります。過敏性がある場合、決して無理強いをしないこと、強い刺激は控えるといった配慮が大切になります。  どんな場合でも、本人に理解できる方法で伝え、本人ができるだけ失敗しないように支援し、成功感、成就感を持たせることが大切です。 あらかじめ見通しを伝える  本人が理解できる方法で「いつ」、「どこで」、「誰と何をするか」、「終わったらどうなるか」といった見通しを伝えましょう。