心筋炎

症状イメージ

心筋炎(こども)のポイント
かぜと胸痛だけで死に至ることのある診断をつけることが難しい病気
●心筋炎(こども)はどんな病気か
ウイルス、細菌などの感染症、川崎病(かわさきびょう)、膠原病(こうげんびょう)などが原因で、心不全や不整脈が起こる心筋(心臓の筋肉)の炎症のことです。小児の心臓病のなかでは、頻度が低い病気です。  原因のなかで最も重要なものはウイルスによるものです。主な原因ウイルスはコクサッキーウイルス、エコーウイルス、アデノウイルスなどですが、そのほか、多くのウイルスが心筋炎を起こします。

●心筋炎(こども)の症状の現れ方
胸痛のほか、心不全による症状、不整脈による症状があります。心不全による症状は、尿量の低下、浮腫(ふしゅ)(むくみ)、呼吸困難、四肢の冷感、チアノーゼなどで、重症になれば意識や血圧の低下などショック症状になります。不整脈では、動悸(どうき)や失神を起こすことがあります。失神は不整脈の一種である房室(ぼうしつ)ブロックや頻拍(ひんぱく)性の不整脈などで、心臓から送り出される血液量が減るためです。  さらに注意するべきなのは、発熱、頭痛、咳(せき)、咽頭痛などのかぜの症状や、嘔吐、腹痛、下痢などの腹部の症状、発疹、関節痛、筋肉痛などが、心不全・不整脈の症状の数日前から現れることが少なくないことです。 かぜ症状に胸痛を伴うだけという症状で終わることもあり、この時期での心筋炎の診断はきわめて難しい物です。経過するうちにいつものかぜや嘔吐下痢症などより重症感があり、何かおかしいと感じます。胸痛、動悸などは小さな子どもは訴えられないため、この「何かおかしい」という感じはこの病気を見つけるうえで非常に大切です。 心電図で心電図ではQ波を伴うST上昇や完全左脚ブロ ックが認められることもありますが、必ず見られる物ではありません。血液検査(血清クレアチンキナ ーゼ値の上昇)と心臓エコーも超音波(左室壁運動異常)も診断の手助けになります。

●心筋炎(子供)の検査は?
徐脈(じょみゃく)などのリズムの異常や聴診所見(心音減弱、ギャロップリズムなど)、胸部X線検査で心拡大や肺うっ血、血液検査で心筋酵素の上昇、炎症反応の上昇、心電図の変化、心エコーで心拡大、左心室機能の低下などで診断します。  ギャロップリズムとは、心音が健常な時と違い、馬が駆けるようなリズムになることです。

●心筋症の治療は?
心不全に対しては強心薬(カテコラミンなど)や利尿薬、血管拡張薬による治療、房室ブロックによる徐脈には一時的に心臓のリズムを正常に保つ体外式ペースメーカーによる心臓ペーシング、頻拍性の不整脈には抗不整脈薬の投与などを行います。薬物治療に効果がみられない場合には、心機能が改善するまで心肺補助装置という機械によって心臓から送り出す血液を補助します。  大量のγ(ガンマ)―グロブリン投与が心筋炎にも有効なこともあります。  心筋炎は、急性期を乗り越えれば比較的良好で、約半数が後遺症を残さずに治りますが、心機能の低下が続く場合もあります。死亡率は10~15%で、急激に病状が進行するものは予後が悪いと言われています。死亡は心不全や不整脈が原因ですが、突然死のような形になることもあります。

●心筋炎の対処法は?
まずかぜの症状で熱が高くなくても子供が胸が痛いと言うときには早めにかかりつけ医に相談すると良いでしょう。知り合いで心筋炎で突然死した子供がいるなど医師に不安を告げてみても構いません。 また、心電図や心エコー、採血(CPK-mb)など多少お金が刈る可能性がある検査も医師に相談してきちんと早期に診断をつけることが大切です。治療は集中治療室で入院加療が必要です。急性期を安全に乗り越えることが大切です。