10人に1人が糖尿病か予備群です
平成9年の糖尿病実態調査で、「糖尿病が強く疑われる人」の690万人と「糖尿病の可能性を否定できない人」の680万人を合わせると、全国に1,370万人いると推定されています
体のエネルギー源である糖が、膵臓から分泌されるインスリンの不足やはたらきの低下によってうまく利用されなくなると、血液中の糖の高い状態が続くようになります。これが糖尿病です
成人病型(インスリン非依存型)糖尿病は、体質的な遺伝に加えて、高カロリー、高脂肪食、肥満、運動不足など、様々な生活習慣が原因となります。初期はほとんど無症状で、糖尿病の三大症状(多尿、多飲、口渇)が現れる頃には、すでに進行しているケースガ多いものです。
糖尿病のこわい点は、様々な合併症を招くこと.検査で高血糖を指摘されたら、生活を改善して血糖値をコントロールしていきましょう。
血糖値が高いとなぜいけないのでしょう
海の中で目をあけると塩水が目にしみることがあります これが浸透圧です 糖が高くなるとこの浸透圧が高くなり血管を傷つけて動脈硬化を起こします これにより小さな血管を傷つけ、様々な合併症 眼底出血・腎不全・糖尿病性神経障害などをはじめ脳梗塞、心筋梗塞も起こってきます。糖尿病で重症の視力障害となる人が年間3000人 糖尿病で腎臓を悪くして透析が必要となる人が年間1万人もいます
糖が体の蛋白にくっつき有害部質(活性酸素)を分解できなくなり動脈硬化が起こるともいわれています
糖尿病は血管の病気なのです。高血糖が続くと血管がどんどん動脈硬化になってゆき、動脈硬化で血管がボロボロになると、脳や心臓の血管が詰まって脳梗塞や心筋梗塞になるということなのです。また、そこまではならなくても、ボケてしまったり狭心症で少し歩いただけで胸が苦しくなることは、十分にありうることです。
また、目の網膜の血管や腎臓の血管に障害がくると、失明とか腎不全が起こってきます。大人になってから失明したり、腎不全から透析が必要になったりする患者さんの、かなりの部分が糖尿病が原因なのです。足の血管が詰まってくれば、足が壊死となり、足の指とか足そのものを切断せざるを得なくなることもあります。
糖尿病の自覚症状として一番多いのは、足の裏のしびれ感です。これは、糖尿病性の末梢神経障害なのですが、一度なったらあまり元には戻りません。この症状自体から重大な問題が起こることはありませんが、小さな脳梗塞とか軽い足の血流障害でも同じような症状が出ることがあるので、注意が必要です
検査の値はどのくらいであればよいのでしょう
最近では食事の影響をほとんど受けないHbA1c(糖化ヘモグロビン)という検査で、糖尿病のコントロール状態を評価します。
まず、下の表をみてください。HbA1cの正常値は、4.3~5.8です 食餌療法や運動療法だけでゆくのなら、正常値をめざすべきです。6.8ぐらいまでなら合併症は起きることはありません
< HbA1cの値と糖尿病のコントロール状態 > HbA1cの値 コントロール状態 コメント
6.0以下 優秀
6.1~6.5 良好
6.6~7.0 まずまず ちょっと高め
7.1~8.0 今一つよくない 合併症が起きる危険が上昇してきます
8.1~9.0 かなりよくない 合併症が起きる危険がかなり高くなります
9.1以上 きわめて悪い こんなに高いのは問題外です
HbA1cを最も重視すべきで、血糖値は補助的なものになってきましたが、簡単に測定できてすぐ結果がわかるところが血糖値のいいところです。早朝空腹時で125以下、食後2-3時間の一番高いときで200以下が、糖尿病コントロールのとりあえずの目標です。これだとHbA1cでいえば7.0、ややあまい感じの目標です。
尿糖は、早朝空腹時で(-)というのが一応のコントロールの基準ですが、尿糖だけで糖尿病をコントロールする時代ではなくなりました。糖尿病の患者さんには定期的に検尿をやっていただいていますが、糖尿病性腎障害が起こってはいないかと、尿蛋白に注意を払っているのであって、尿糖は補助の補助ぐらいのつもりでやっています。糖尿病性腎障害の有無を見るのには、1-5AGとか尿中アルブミンなどの、さらに詳しい尿検査もあります。