緑内障(開放隅角緑内障・閉塞隅角緑内障)

症状イメージ

閉塞隅角緑内障
房水の出口がつまり眼圧があがり激しい頭痛が起きます
●閉塞隅角緑内障はどんな病気か
緑内障を発症メカニズムから分けると、閉塞隅角緑内障と開放隅角緑内障の2つのタイプがあります。正常な眼では角 膜と水晶体の間にある房水(ぼうすい)が絶えず生成、排出され、そのバランスを保っています。閉塞隅角緑内障は房水の 出口にあたる隅角が虹彩(こうさい)によってふさがれることにより排出が困難になり、房水がたまり眼圧が高くなります。

●閉鎖隅角緑内障の原因は?
隅角が虹彩によってふさがれてしまい眼圧が上昇、視神経がダメージをうける病気です。
①原発閉塞隅角緑内障
隅角という房水の出口が加齢などにより水晶体が厚くなってきます。散瞳したときにこの出口が 遮断され急速に眼圧が著増、40mmHgをこえて起こります。これを急性原発性隅角緑内障といい、緊急治療の必要な 状態です。
◎急性閉塞性隅角緑内障の診断は
患者は激しい眼痛と充血、視力低下、虹暈、頭痛、悪心、嘔吐を自覚します。全身愁訴が激しいために,神経学的疾 患または消化器系疾患を有していると誤診されます。診察では典型的には結膜充血、角膜混濁、中等度に散瞳したま ま反応のない瞳孔、前房の炎症が認められ、視力は低下します。眼圧は通常40~80mmHgです。角膜浮腫により視神 経は観察困難であり、苦痛があるため視野検査は行いません。 診断は臨床的に行います。患眼では角膜混濁ともろくなった角膜上皮のため隅角鏡検査の実施が困難なことがあります。 他眼の検査では狭隅角または閉塞の危険がある隅角が認められます。他眼の隅角が広い場合は,原発閉塞隅角緑内障 以外の診断も考える必要があります。
◎急性閉塞性隅角緑内障の治療は?
視力が急激かつ永久に障害される恐れがあるため、直ちに治療を開始し眼圧を緊急に下げます。 根本的治療法はレーザー周辺虹彩切開術で、後房から前房へ房水が流れるもう1つの流出路を作ります。 角膜が透明になり炎症が収まると同時に行います。角膜の透明化は眼圧下降後数時間以内に生じることもあれば、 1~2日かかることもあります。他眼が急性発作を起こす確率は80%と高率であるため、両眼に対してレーザー周辺虹彩切開 術を施行します。 レーザー周辺虹彩切開術を速やかに実施すべきですが、虹彩切開の位置が十分上方になく 上眼瞼で覆われない場合には煩わしい複視が起こることがあります。
②続発性隅角緑内障
続発閉塞隅角緑内障は,隅角の機械的閉塞は増殖糖尿病網膜症や虚血性網膜中心静脈閉塞、ぶどう膜炎、 眼内上皮増殖などの併発疾患により起こります。新生血管膜の収縮またはぶどう膜炎に関連する炎症後の瘢痕 化により虹彩が隅角へ牽引されることがあります。
◎慢性閉塞隅角緑内障
この病型の緑内障は開放隅角緑内障に似た症状となります。一部の患者は,睡眠により(おそらく睡眠による縮瞳および 重力による水晶体の後方移動のため)軽減する眼の充血、不快感、視力低下、頭痛が起こります。隅角鏡検査で、 隅角は狭く、周辺虹彩前癒着することもあります。眼圧は正常の場合もありますが、通常患眼の方が高ことがおおいです。
◎慢性閉塞隅角緑内障の治療は
慢性,亜急性,間欠性閉塞隅角緑内障患者に対してもレーザー周辺虹彩切開術を、また、隅角鏡検査で隅角が狭い患 者では、症状がなくても閉塞隅角緑内障予防目的でレーザー周辺虹彩切開術の早期実施が必要です。 薬物療法および手術治療については開放隅角緑内障と同様、レーザー線維柱帯形成術は、レーザー照射後さらにPASを 形成する危険のあるほど隅角が狭い場合は、施行に注意が必要です。