あざ 母斑症 ほくろ 色素性母斑のポイント

症状イメージ

大切なのは良性か悪性か
●ほくろ 色素性母斑はどんな病気か
ほくろは色素の増強した斑,丘疹,結節で,集簇したメラノサイトまたは母斑細胞で構成されています 治療は悪性化する可能性はきわめて少ないので切除の意味は少ないです。ただ美容目的などで切除したときには必ず細胞診を検査 すべきである。有毛性のほくろは表面をそぎ取るのではなく切除しないと毛が再生します

あざ・母斑
あざ(母斑(ぼはん))とは
あざとは、皮膚の色が周囲と比べて違って見える状態で、その色によって赤あざ、青あざ、茶あざ、黒あざなどと呼ばれます。 このなかで皮膚の奇形として生涯のさまざまな時期に発生し、ゆっくり発育して皮膚の色や形の異常を認めるあざを、医学的 に母斑と呼びます。

さまざまな母斑
局所的な血管の拡張や増殖によって、血液の色が皮膚をすけて赤く見えるあざを血管腫(けっかんしゅ)といいます。 青あざは皮膚のやや深い部分(真皮)にメラニン色素を産生する色素細胞が増えるために起こり、発生する場所や症状によ り蒙古斑(もうこはん)や太田母斑(おおたぼはん)などと呼ばれています。

●蒙古斑
蒙古斑とは?
日本人(黄色人種)の臀部(でんぶ)(おしり)に生まれつきある青あざです(通常型)。黄色人種にはほぼ必ずあり、ほとんどが5~6歳で消えます。時に四肢や体幹部などにできる場合があり(異所性蒙古斑(いしょせいもうこはん))、このタイプは通常型より消えにくい傾向があります。  皮膚の状態が典型的なので、見た目の診断でわかります。

蒙古斑の治療は?
蒙古斑の治療は通常型はほとんどが自然に消えるのでそのまま経過をみます。異所性のタイプは成長しても消えにくい場合があり、気になるならレーザー(Qスイッチルビーレーザー、Qスイッチアレキサンドライトレーザー)治療がよいでしょう。

●太田母斑
太田母斑とは
頬部(きょうぶ)を中心とした顔面(眼の周囲がほとんど)の片側、時に両側に青色からやや褐色の小さい点が集まって斑を つくっています。とくに女性に多くみられます。
出生直後から目立つ場合と、思春期ころに目立ってくる場合とがあ ります。時には眼球にも青色の色素沈着がみられます。
日本人に比較的多くみられるタイプです。たまに肩から上腕部に 同じような青色の斑がみられる場合もあります。

太田母斑の治療は
部位や皮疹の様子から診断は容易です。
見た目が気になることが多く、最近ではレーザー(Qスイッチルビーレーザー、Qスイッチアレキサンドライトレーザー)照射でか なり色調が改善し(消失例もある)、レーザーのよい適応疾患になっています(図62下)。
太田母斑に対するレーザー療法 は健康保険が適用されます。眼球の色素斑はレーザー照射ができないので、現在は治療法がありません。

太田母斑に気づいたら
小児期~思春期で顔面に青あざができればこの疾患とみてよいでしょう。整容面(見た目)の問題が主になるので、気になる場合はレーザーを設置している施設で相談してください。
小さいうちのほうがレーザーの効果は高いのですが、治療には痛みも伴うので相談してください。

●茶あざ
茶あざは皮膚の表面(表皮)のメラニン色素が増加した状態で、扁平(へんぺい)母斑や思春期ごろに生じるベッカー母斑などに分類されます。
また、レックリングハウゼン病にみられる茶あざをカフェオレ斑と呼びます。

●黒あざ
黒あざは一般に「ほくろ」といわれるもので、メラニンを産生する細胞(母斑細胞)からなる良性腫瘍です。医学的には色素性母斑と呼ばれ、生まれつきあるものやそうでないもの、大きさも巨大なものから小さなものまでさまざまです。

ほくろ 単純黒子

●ほくろ(母斑細胞性母斑・単純黒子)

ほくろ(母斑細胞性母斑・単純黒子)はどんな病気か
皮膚のすべての部位にできる黒色の色素斑です。
いわゆる“ほくろ”は小さい点状のものを指し、 “黒あざ”はやや面積のあるものを指します。
これらは平らなものからやや隆起したもの、発毛を伴うものから伴わないものま でさまざまです。
点状のほくろは生まれた時にはわからないのが、あとになって次第に数が増えてきます。
これに対し黒あざは生まれつき あることが多く、時に広い範囲にできたり(先天性巨大色素性母斑)、また剛毛を伴ったり(獣皮様(じゅうひよう)母斑)します。
先天性巨大色素性母斑の場合、悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)を生じる可能性が3~7%あるともいわれ、 早めの受診をすすめます。
時にまぶたの上、下に母斑が分かれている場合もあり(分離母斑)、胎生期のまぶたが分離する 前から母斑があった場合にみられます。
最初に黒かったものが次第に褐色から皮膚色になる経過をたどるものもあります。

ほくろの検査と診断は?
特徴的な皮疹なので、ほとんどは見ただけで診断はつきます。ただ色素性母斑自体は良性ですが、皮膚の悪性腫瘍の なかでも悪性度が高い悪性黒色腫と見分けがつきにくいものも時々あります。
とくに日本人で悪性黒色腫の発生が多い手掌(手のひら)、足底(足の裏)に成人以降にできた色素斑に気づいたら、 専門医とよく相談してください。
これらの確定診断は、切除したほくろを病理組織検査することでつくので、切除を受ける 場合は病理検査も行うことをすすめます。

ほくろの治療法は?
一般には整容面(見た目)の問題が主になります。治療は外科的に切除するのが一般的です。
メスで切除して縫合した り、とくに顔面の小さいほくろは切除したあと縫わないでしばらく開放創(そう)として自然に治るのを待ったり(くり抜き療法)、 最近ではメスの代わりに炭酸ガスレーザーを用いてくり抜いたりします。
いずれも多少の傷跡がつくこともあり、治療前に十 分相談してください。
くり抜きは顔面ではあまり目立たないことが多いようですが、他の部位ではくり抜いたところの傷跡が目立つ場合もあります。
ただレーザー治療では多くの場合、病変部を焼きとばすので、病理組織検査を行えません。
悪性黒色腫と見分けがつき にくい場合もあるので、レーザーを選択する場合は担当医の十分な診断力が必要とされます。
また、レーザーによるくり抜 きを顔面以外で行った場合、意外にその傷跡が目立つ場合があるので、治療前に担当医と十分相談してください。
生まれつきの大きな黒あざは悪性黒色腫の合併も視野に入れて治療しますが、大きなあざをとったあとの処置を考 えると完全に切除することが困難な症例も多くあります。
切除後の治療として植皮したりしなければならず、時にかな り負担の大きな治療になります。大学病院や総合病院の皮膚科、形成外科などで相談するのがよいでしょう。
ほくろ(母斑細胞性母斑・単純黒子)に気づいたら
小さいほくろは気にならなければそのままでよいでしょう。見た目が気になる場合は皮膚科、形成外科で相談してください。
なお、とくに成人以降に急にできて、色の変化や大きさの変化が激しい場合、色の濃淡が強い場合、色素斑の境界が はっきりしない(ぼけている)場合などは、たとえ小さくても悪性黒色腫の可能性もあるので早めに受診してください。
生まれつきの大きい黒あざも生後早めに医師と相談してください。