愛情遮断症候群のポイント

症状イメージ

●愛情遮断症候群はどんな病気か
母子関係や家族関係の問題によって、子どもが十分な愛情を感じられないまま育った結果、成長や発達の遅れたり停滞したりする病気です。 乳幼児に多くみられます。
子どもは愛情ばかりでなく、十分な栄養も与えられていないことも多いです。
母親の入院・死・離婚や母親の心理状態(うつ、深い悩みなどの精神的な病気)、薬物中毒や知的障害などりにより適切な養育ができないときに 起こります。
母性愛が不十分などが主な原因ですが、父親などが代理者として十分な愛情を注いでやれば、防ぐことができます。
養育者(母親)自身が、子ども時代に十分な愛情を受けて育っていない場合に、世代を超えて子育てに影響すること(世代間伝達)もあります。
原因は、親から虐待を受けたり、愛情を確認できない環境に置かれたりして、極度のストレスを感じるため、解放されると急速に成長し、再びストレスを受けるとまた成長が止まることになります。
成長ホルモンは睡眠中に分泌されますが、ストレスによって睡眠が妨げられると分泌されなくなり、その結果、身体的発育や知的発育に遅れがでると考えられます。
子どもが心から安らいでぐっすりと眠ることができるかどうか、という点が最も重要です。 この病気では睡眠中に分泌が見られるはずの「成長ホルモン」が、 ほとんど分泌されていないのです。

●症状の現れ方
栄養障害による症状(身長が低い、体重の増えが悪い、腕や脚が細い、やせている、肋骨が目立つ、お尻がへこんでいる)、不適切な養育の結果として観察されること(おむつかぶれがひどい、皮膚が汚い、汚い服を着ている)、子どもの心理的な変化や行動異常(目を合わせない、表情に乏しい、抱きついたり寄り添ったりしない、親に抱かれるのを嫌がる、異様な食欲増進、おしっこやうんちをもらす、寝つきが悪い、かんしゃく)がみられます。 落ち着きが無くなり、わらいがなく 子供らしい反応がみられにくくなります。

●愛情遮断症候群の検査と診断
身長、体重、頭囲の計測値から成長曲線をつくり、成長を評価します。食事の内容から栄養学的な分析をします。養育環境、食事環境についての情報が必要ですが、核家族、片親家庭のとき情報を得ることが難しいことが多いです。ストレスの少ない環境で十分な栄養を与えると、体重が増加し、成長の遅れは取りもどされます。

●愛情遮断症候群の治療の方法
子どもには年齢に見合った十分な食事を与えます。時には入院させることもあります。食事の内容について栄養指導を行います。子どもと養育者にとって、ストレスの少ない環境になるように調整をします。養育者に対する心理カウンセリングが必要な場合もあります。この病気の根本治療には養育者の心理的な安定、精神疾患の治療、ストレスの軽減などの支援が欠かせません。 一時的に養育者と引き離して施設で保護することがありますが、保護をしているときに急速な身長の伸びなどがみられることもあります。子供と養育者 両者の治療が必要な疾患です。