頻度★

要点

症状イメージ

(1)高血圧性脳症はどんな病気か
頭痛、視力障害、けいれん、意識障害などの症状が血圧上昇に伴って起こるものです。
脳の血管には、血圧の上昇・下降に対して血管を収縮・拡張させて血管抵抗を増大・減少させ、脳の血流を一定に保 とうとするはたらきがあります。
これを脳血管の自動調節能といいます。しかしその調節能の範囲を超えて血圧が著しく上昇 すると、脳血流は異常に増え、脳の毛細血管内から血管外へ血漿(けっしょう)成分がしみ出して脳にむくみを起こし、頭蓋 内圧が亢進します。
このような現象を高血圧性脳症といい、悪性高血圧や子癇(しかん)(一種の妊娠中毒症)などの際に みられます。

(2)高血圧性脳症の症状の現れ方
頭痛、悪心(おしん)(吐き気)、嘔吐などのいわゆる頭蓋内圧亢進(ずがいないあつこうしん)症状が起こります。
さらに悪化 するとけいれん、意識障害などを起こします。放置すると脳出血や心不全、腎不全により死亡します。

(3)高血圧性脳症の診断
適切な降圧療法が普及して以来,厳密な意味で本症に遭遇する頻度は少なくなっています。
非常に強い高血圧あるいは急激に血圧が上昇した場合に脳浮腫が生じる病態で、放置すると生命に関わるので 早急に血圧を下げる必要があります。
緊急に血圧を調節した方が良いとき
【1】著しい高血圧(特に拡張期)あるいは急激に血圧が上昇した場合
【2】急性,時に亜急性の発症
【3】激しい頭痛,しばしば悪心・嘔吐が前駆症状
【4】意識障害・視力障害から始まる神経症状
【5】適切な降圧による症状の改善
しばしば腎機能障害を伴います。子癇や小児の急性腎不全では、成人の場合よりも低い血圧で意識障害が発症する点 に注意することが必要です。

(4)高血圧性脳症の治療
血圧は上昇し,しばしば顕著に上昇します(拡張期血圧が120mmHgを上回る)。
中枢神経系症状には急速に変化する神経学的異常(例,錯乱,一過性の皮質性黒内障,不全片側麻痺,片側感覚 消失,けいれん)があります。
心血管症状には胸痛および呼吸困難があります。進行した腎不全による重度の高窒素血症が嗜眠 または悪心を引き起こすことがありますが、腎臓の障害は無症候性のことがあります。
身体診察では神経学的検査、眼底検査,および心血管検査を用います。
局所障害を伴うまたは伴 わない全体的な脳の異常(例,錯乱,鈍麻,昏睡)は脳症をしめしますし、局所障害を伴う正常な精神状態は脳卒中を 示します。
重度の網膜症(硬化症、綿状白斑点、細動脈狭窄、出血、乳頭水腫)は通常、高血圧性脳症とともにみられます。
頸静脈怒張、肺基底部クラックル、および第3心音は肺水腫を示します。上腕脈拍の非対称性は大動脈解離を示しています。
標的器官障害を示唆する心電図異常には,左室肥大または急性虚血の徴候があります。 腎臓の障害に典型的な尿検査異常には,赤血球,赤血球円柱,および蛋白尿があります。
診断は著しい血圧上昇の存在,および標的器官障害の所見に基づいて下されます。

(5)治療のポイント
高血圧緊急症はICUで治療し,血圧は短時間作用型の調節可能な静注薬を用いて(急激にではないにしても)漸次低下 させます。
薬物の選択,降圧の速度および程度は,障害を受けた標的器官によりある程度異なりますが,一般に1時間程 度の間に平均動脈圧を20~25%下降させるのが適切です。
“正常”血圧を緊急に得る必要はない。典型的な第1選択薬に はニトロプルシド,フェノルドパム,ニカルジピン,およびラベタロールがあります。

(5)治療のポイント
高血圧緊急症はICUで治療し

高血圧性脳症とは、何らかの原因で著しい高血圧を来し、それに伴うさまざまな症状を引き起こす状態のことです。

治療が遅れると、脳後遺症を残したり、生命にかかわったりするため、緊急入院し、集中治療が必要です。

治療では、多くの場合、降圧薬が用いられます。複数の降圧薬が必要な場合も少なくありません。

血圧をきちんと管理することが大切です。血圧が多少高くても、自覚症状が現れないため、高血圧の治療はついおろそかになりがちです。きちんと治療は続けましょう。

薬の服用を自己判断でやめないようにしましょう。

普段の生活で気をつけてほしいこと

  • 塩分を控えた食事と適度な運動を心がけましょう。