ウイルス性結膜炎 アレルギー性結膜炎

症状イメージ

ウイルス性結膜炎 アレルギー性結膜炎の特徴
結膜炎の原因診断が大切
結膜炎は原因により、ウイルス性結膜炎、クラミジア性結膜炎、細菌性結膜炎、アレルギー性結膜炎の四つに分けられます これらの鑑別が大切です
アレルギー性結膜炎は目やにが少なくかゆみが強くて充血がよわい。
感染性の結膜炎では、かゆみより異物感が強く眼脂が多く感染予防が大切です。

ウイルス性結膜炎
(1) 流行性角結膜炎
アデノウイルス結膜炎です。感染力が強く、「はやり目」と呼ばれています。
白目が充血し目やにが出て、眼痛はありますが。かゆみはありません。
耳前や顎下にあるリンパ節腫れます。瞼の裏に白い炎症性の膜ができることがあり(偽膜)、特に小さなお子さんでは成人より偽膜が生じやすいです。
偽膜ができると目の表面に傷がつき激しい痛みがでます。片目発症でも、もう片目に症状が出現することがあります。約1週間が病状のピークで、その後改善してきますが、炎症が強い場合は黒目(角膜)の表面に小さな濁りができることがありステロイド薬の目薬を使うことがあります。
角膜の濁りも、時間とともに徐々に消えてゆきますが、完全に消えるまでに数ヶ月かかることもあります。

(2) 咽頭結膜熱
アデノウイルス(3型、4型、7型)によって起こる結膜炎で、俗に「プール熱」と呼ばれています。この結膜炎は、白目の充血や目やにといった眼の症状のほかに、のどの痛みや39度前後の発熱がみられるのが特徴です。潜伏期は約1週間で、症状は発症から1週間くらいで軽快してきます。

(3) 急性出血性結膜炎
エンテロウイルス(70型)やコクサッキーウイルス(A24変異型)によって起こる結膜炎です。症状は急性で、眼痛や目やにが出現し、しばしば白目に出血がみられます。症状の強いときは角膜に小さな傷ができることがありますが濁りになることはありません。潜伏期は1日で、症状は発症から約1週間で軽快します。

(4) ヘルペス性結膜炎
ヘルペスウイルスによる結膜炎は、他の人にはあまりうつりません。症状としては白目の充血や眼脂などに加え、多くは目の周りの皮膚に小さな薄い赤色の水疱がみられます。このウイルスは特徴的な角膜炎(角膜ヘルペス)を合併することもあり、この場合はしっかりと治療する必要があります。

ウイルス性結膜炎の治療
ヘルペス性結膜炎以外のウイルス性結膜炎に対しては、今のところ残念ながら特効薬はありません。感染したウイルスに対する抗体が体内で作られるのを待つしかありません。通常、炎症を抑え、細菌による二次感染を防止するための目薬を使用します。
ヘルペスウイルスには抗ヘルペスウイルス作用を持つ眼軟膏を用います。また症状によっては抗ウイルス薬の内服や点滴治療を併用することもあります。

ウイルス性結膜炎の感染予防
ウイルスによる結膜炎と診断されたら、周囲の人にうつさないように注意しなければなりません。他人へ感染させる恐れのある期間は、流行性角結膜炎や咽頭結膜熱では約1~2週間、急性出血性結膜炎では3~4日です。学校保健法では、流行性角結膜炎と急性出血性結膜炎は医師が周囲への感染力がなくなったと判断するまで、咽頭結膜熱は主要症状が消退した後2日を経過するまで登校を禁止すること、と明記されています。社会人でも集団感染を防止する意味で、できるだけ仕事を休むのが良いでしょう。学校・医療施設・接客業に従事している人は、職場で休業を義務付けているところもあります。
ウイルスは目をこすった手や目を拭いたハンカチなどから感染することがほとんどです。感染を予防するにはよく手を洗うことが重要です。また目を拭くときはテッシュペーパーなどの使い捨てのものを使い、タオルなどは家族と別のものを使ってください。お風呂は最後に入るようにしましょう。

アレルギー性性結膜炎
■アレルギー性結膜炎の種類と症状
(1) 花粉症
花粉が原因で生じるアレルギーです。花粉症を起こす植物としては、春先に多いスギ、秋に多いブタクサなどが有名ですが、花粉そのものが毒性を持っているわけではありません。花粉が体に入ってくると、「好酸球」という細胞が過剰に反応して、「ヒスタミン」などの化学伝達物質をたくさん作ってしまうことが花粉アレルギーの原因です。症状は眼のかゆみ・充血・異物感・目やになどです。
花粉症では、毎年決まった季節に症状がみられることが特徴です。

(2) ハウスダストによるアレルギー性結膜炎(通年性アレルギー性結膜炎)

ハウスダストによる結膜炎も、原因や症状は花粉症と同様です。(異物が花粉ではなく、ハウスダストであるという違いだけです。)しかし、ハウスダストは花粉と異なり、常に身の回りにあるので、一年を通して症状が慢性的にみられるのが特徴です。

(3) 春季カタル
春季カタルはアレルギー性結膜炎の慢性重症型です。10歳くらいまでの男児に多く見られます。ハウスダストが原因となっていることが多いとされています。目のかゆみが非常に強いうえ、黒目(角膜)の表面に多くの小さな傷ができるために異物感が強く、光をまぶしく感じます。炎症が強いときは、黒目に白い濁りができることがあります。ひどくなると、白く濁った部分が剥がれ落ちて「角膜潰瘍」という
状態になることもあります。従来は、10歳を過ぎると症状は軽くなり、自然に治癒することが多かったのですが、アトピー性皮膚炎を合併することが多くなった最近では、20歳代でも強い症状がみられる人がいます。

アレルギー性結膜炎の診断
目やにを顕微鏡で調べて「好酸球」という細胞が見つかれば確実にアレルギー性結膜炎と診断できます。ただし、通常は、充血やかゆみなどの症状や結膜の状態から容易に診断することができます。アレルギーを起こしている原因物質を調べる方法には、皮膚をこすって疑わしい物質のエキスを乗せ、その部分が赤くなるかどうかを見る「スクラッチテスト」や、血液検査などがあります。

アレルギー性結膜炎の治療  抗アレルギー作用をもつ目薬を用いた治療が主に行われます。花粉症の場合、あらかじめ季節が判明しているときは、かゆみなどの自覚症状が出現する前に目薬をつけ始めることで、症状の出現を予防したり、軽くしたりすることができます。
かゆみなどの症状が強いときは、ステロイドを含む目薬が使われることもあります。

この目薬は、症状を抑える効果は強いのですが副作用として眼圧上昇を起こすことがあるので、眼科に通院しながら注意深く使う必要があります。ですから処方眼圧を測定して処方することがあります。する前に目薬だけで症状が治まらないときには、抗アレルギー薬を内服することもあります。春季カタルなどの重症例では少量のステロイド薬を内服したり、結膜へのステロイド薬の注射などを併用したり
することもあります。
以上の治療法は、症状を抑える「対症療法」といわれる方法です。これに対しアレルギーのそのものを改善する方法として、「減感作療法」という治療法があります。これは、アレルギーの原因が検査で明らかである場合に、その原因物質を低い濃度から徐々に高い濃度へ半年ぐらいかけて注射することにより、その物質にアレルギー反応を起こさないようにする方法です。 有効率80%位ありますが週3回注射から始まり1年以上かけて治療するため 労力と費用はかかります。
また効果があっても、月2回または月1回の注射から減らせない患者さんもすこしおられます

アレルギー性結膜炎の予防
花粉症の場合は、症状の出現しやすい季節にできるだけ花粉と接しないように工夫することが重要です。ゴーグル型の眼鏡や花粉防止用のマスクの着用が最も効果的です。花粉が飛びやすい日は外出や洗濯物などを外に干すことを避けたり、外出から帰宅したときには服についた花粉を十分に落とすようにしましょう。目を洗うことは目を傷つけてしまうこともあるため、あまり勧められません。
洗顔して目の周りを洗うことはよいでしょう。ハウスダストの場合は、部屋の清潔を心掛けたり、寝具を干したりするのも効果的です。また動物を屋内で飼うことは避けたほうがよいでしょう。ただ症状がでているのに薬なしでこのような方法だけで直そうとするのは無理があります。薬できちんと症状、病状を改善しながらそれと平行して このような方法をとると薬も効果もよく減量して行けるでしょう