神経性食欲不振症

症状イメージ

神経性食欲不振症のポイント
●神経性食欲不振症とはどんな病気か
自分の体型や体重に対する異常な思い込みによって、食事を十分に食べなくなり、子どもの年齢の標準体重の85%以下の極端なやせが続くこころの病気です。思春期以降にみられ、大部分が女性ですが、男性にもみられます。女性の場合、無月経を伴います。 神経性食欲不振症は、痩せ願望の女性という定義ではないのですから、この病気原因の全てが この思い込みだけではないという考え方もあります。

●神経性食欲不振症の原因は
不明ですが、自分の体に対する異常なイメージをもち、体重が増えることを極端に恐れるようになります。ダイエットがきっかけになる場合もあります。性格や家族環境も発症に関係しているといわれています。

●神経性食欲不振症の症状の現れ方
食べないこと(拒食(きょしょく))が主症状ですが、食事後隠れて吐いたり、下剤をのんで体重を減らすこともあります。体重が減り極端にやせても、体重が増えることを拒絶します。監視下で食事をさせた場合には、走ったり階段を昇降して運動量を増やしてやせようとします。  食事に対する関心はむしろ増していることが多く、カロリーを気にしたり、他人の食事内容にまで関心を示したりします。

●神経性食欲不振症の症状は
精神神経疾患の中では、致死率が最も高い疾患のなかのひとつです。最終的な致死率は5%-20%程度、主な死因は、極度の低栄養による感染症や不整脈の併発です。患者は自己の体重が減少することに満足できるため、自殺が死因となることは神経性大食症(過食症)と比較して少ないですが、 おちこんで自殺しようとする時もあります。
極度の体重減少
女性の場合、無月経
活動性の上昇、易興奮性、睡眠障害
抑うつ症状
食物への興味の上昇…しばしば料理関係の情報を収集する
強迫的な思考
自傷行為
手掌・足底の黄染(高カロテン血症)
低血圧
低体温
徐脈
便秘、腹痛 電解質代謝異常、特に低カリウム血症
骨粗鬆症
続発性甲状腺機能低下症
色素性痒疹…胸や肩などの痒みの強い発疹が出現する皮膚疾患

●神経性食欲不振症の治療は
極端なやせや電解質(塩分)不足によって、脱水や低血糖、循環不全による肝腎機能不全などを起こすことがあり、死亡することもあります。脱水や低栄養状態を改善するために点滴で栄養や水分を補うとともに、心理・行動療法を行います。  再発することが多く、長期間の治療が必要になるのが普通です。治療にあたっては、体重増加のみを治療目的とすべきではありません。「とにかく食べろ」といった強硬な姿勢を家族や治療者が見せることは、通常逆効果となることがおおいようです。長い間神経性食欲不振症と戦っている患者にとって、食物を食べること自体が大変な苦痛・恐怖につながるからです。また体重増加以外にも、患者の主体性を重視し、人間としての成熟、対人関係の充実、実生活での適応などを手助けすることが重要です。適切な医師-患者関係、家族-患者関係を築くことが最も大切でありなにより患者さんまたご家族が この医師とタッグを組んで直していきたいと思える医療者と治療することが良いと思います。 インターネット等で摂食障害患者、元患者との交流を持つことがよい影響をもたらすこともあります。 治療により軽快した場合、再発や、神経性大食症の発症に注意することが大切です。