注意欠陥/多動性障害(AD/HD)

症状イメージ

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)のポイント
●注意欠陥/多動性障害(AD/HD)とはどんな病気か
AD/HDは、「不注意」「多動性」「衝動性」を特徴とする行動の障害で、7才未満で現われ、少なくとも6か月以上続きます。最近では、約5%の発生率と言われています。  また、AD/HDは、以前は子どもの時期の障がいと考えられていましたが、大人になってもAD/HDで悩んでいる人が多くいることもわかってきました。 3つのタイプ(型)に分けられます。
多動性一衝動性優勢型
多動性や衝動性の特徴は強く見られるが、不注意の特徴は少ないタイプ。  男児に多く、最も頻度は低い。
不注意優勢型
多動性、衝動性は余り見られず、不注意の特徴が強く見られる。他の型に比べ女児に多い。
混合型
多動性、衝動性、不注意のいずれの特徴も強く見られる。  男児に多く、最も頻度が高い。
不注意と多動・衝動性(しょうどうせい)のうちのどちらか一方か、あるいは両者が認められるものです。知能は正常範囲であることが一般的です。  微細脳機能(びさいのうきのう)障害という呼び方が一時広く使用されましたが、これはAD/HDの病気の原因を想定した概念です。同様に学習障害という用語は、当初は教育の分野から提唱されたもので、全体の知能は正常範囲にあるのに、読む、書く、計算するなどの特定の能力だけに問題が認められることが多く、それぞれ読字(どくじ)障害、書字表出(しょじひょうしゅつ)障害、算数(さんすう)障害といわれています。学習障害はAD/HDに合併することが多いといわれています。

●注意欠陥多動性障害の支援の方法
AD/HDは、次のような「だれでも努力すればできそうなこと」と思われる行動のコントロールにつまずきを持ちます。 忘れっぽい 些細なミスをする 考えずに行動する 落ち着きがない 多弁で時間や物の管理ができない  そのため「なまけている、不まじめ」などと叱責されることが多くあります。結果、本人は自信や希望を失い、自暴自棄になったり、うつ頃向になったりすることもあります。  教育的な支援や適切な薬物療法によってAD/HDによる問題行動は軽減することが知られています。逆に適切な支援がなされない場合は深刻な問題を引き起こされることもあります。 薬物療法は中枢神経刺激薬であるメチルフェニデート(リタリン)が第一選択薬ですが、日本ではAD/HDには保険の適用が認められていません。 注意欠陥/多動性

●不注意優勢型の支援
注意を散らす刺激の少ない環境作りをする  窓際や廊下側を避け、音や見える物などは配慮しておきましょう。 注意や興味を引きつける  声の大きさ、速さ、抑揚を意識的に変化させる。わかりやすい板書にして、意識を促す。興味のある物を取り入れましょう。 不注意な失敗を少なくする  手順書やメモを利用しましょう

●「多動・衝動性優勢型」への支援
計画や準備の仕方を学ぶ スケジュールを理解し活用しましょう。 行動の手順を思い出させる 集中を必要とする課題の前にあらかじめ伝えておく  手順書やメモを利用しましょう。 してよいこと、いけないことをあらかじめ約束しておく 約束していたことがてきたら褒める  子どもが冷静な時に約束することがポイントです。 感情(怒りやうれしさなど)のレベルの自覚を促す  怒りのレベルを信号機に置き換えましょう。本人が怒りの感情を自覚し、気持ちを静められる方法を身につけるように促しましょう。

●「混合型」への支援 
不注意優勢型と多動・衝動性優勢型への支援  混合している2つの支援を組み合わせ、支援を行います。 薬物療法  著しい多動、不注意、衝動性で二次的な問題が大きいと思われるときに薬物療法も考慮します。薬物としては中枢刺激剤であるメチルフェニデート(コンサータ)がよく知られています。  しかし、薬を飲む=治るではなく、症状がコントロールされている時に、上記の教育的な支援を行うことが重要です。また、医師と密に相談するなど、医療との連携を図ることが大切です。

●注意欠陥多動性障害に気づいたら
“しつけの問題”として親が学校などから責められていることも多く、まず両親、教師など本人に関わる大人が障害について十分に理解し、認識を共有することが大切です。また、新たな刺激や複数の刺激の処理が困難なことが多いため、学習する場所をいつも一定にする、机の上やまわりに余分な物を置かない、などの生活環境の整備も心がけましょう。 合成着色料、安息香酸ナトリウムを摂取すると多動になりやすいという説もあります。