吃音(きつおん)・どもり

症状イメージ

吃音(きつおん)・どもりのポイント
●吃音(きつおん)・どもりとはどんな病気か
言葉の発音の流暢(りゅうちょう)さが損なわれる病気のひとつで、言葉の開始時に、最初の音を何回も速く繰り返したり、次の音がつまって出ない状態です。成人でも大勢の前での挨拶、発表などで緊張しているときなどによく見られる症状ですが、これが日常的に、慢性的に起こることをいいます。小児人口の約2・5%が吃音をもっているといわれています。

●吃音(きつおん)・どもりの原因は?
最初の音を出す時の、精神的な緊張が発音器官であるのど(声帯)や口唇(こうしん)の滑らかな運動を阻害すると考えられます。 最近では脳の機能障害との関与もいわれています。遺伝的要素や養育環境など、いくつかの因子が影響しています。流暢に話せるようになるのが素質的に遅い子供や、神経質な素質を持つ子供、また子供に対して神経質な親に育てられた場合に発症しやすいといわれています。緊張や不安によっても悪化します。

●吃音(きつおん)・どもり症状の現れ方
言葉の発達が急激に進んでいる幼児期から小児期に初めて気づきます。精神的緊張が強い状態で、自分の気持ちを一気に言葉にしようとした時に吃音が起こります。 最初の音を「た、た、た、たぬき」というように繰り返したり、「たーーー、た、たぬき」と伸ばしたり、あるいは「ーーーーーたぬき」というように最初の音が出ないなどさまざまです。 「どもり」は、話し方の特徴とともに、随伴運動(ずいはんうんどう) とよばれる、体の動きもあわせて起こります。 これは、どもりを自覚していない子どもの頃はあまり見られない 症状です。 「どもり」を自覚し、     「どもらないようにしよう」    「少しでもどもりを軽くしよう」 として 手足をふったりばたつかせたり、手で拍子をとったりします。またどもりたくないということから 赤面、発汗、視線をそらしたり、瞬きが多くなったり、口がとがる 声が高いなどが起こることもあります。 言葉を使うことに慣れるにしたがって、幼少時の吃音は軽快し、治るのが普通ですが、成人期まで続く場合もあります。成人の吃音は、ある特定の言葉をしゃべる時や、特定の場面(人前)でしゃべる時に出やすいという特徴があります。 どもりの原因にストレスなどの精神的な問題があると言われています。 細かに他人に干渉される養育、どもっていることを強く指摘し続ける、左利きを無理矢理右利きに、環境の変化、極度な緊張などです。 母親の子供との関わりはどもりの原因・治療の大切な事ではありますが、母親自体が吃りの元凶というのは間違いだと思います。母親に行う場合は、過度なしつけや教育、干渉などがあれば見直すことは直す手助けにはなりますが。

●吃音(きつおん)・どもりのきっかけ
耐え難いストレス(いじめ・叱られた・過度に厳格な躾) 好ましくない言語環境 幼少期の子供は左右の言語脳野の機能分化が進んでいないため、どもりは出やすいといわれているが、それに敏感になって、自分の子供に『どもらないように話せ』などと叱ってしまう。叱られた子供はどもりを悪い事だと思い込み、隠そうとする。それが、いつしか話すことへの恐怖へと変わり、条件反射付けられ、吃音が定着してしまうと考えられる。また、電話で言葉が出ず、いたずらと思われたり、友人からおかしな話し方をするという目で見られたり、授業で指名されてどもったことを注意されたり、いじめや嘲笑の対象にされるなど、辛い体験の蓄積や、周囲の人の吃症状に対する否定的反応からも吃音は条件反射付けられる。 吃音者をからかうなどして発声を何度も真似た経験がある。 左利きの者が利き腕を矯正した。 などがいわれています。実際にはどもる子供に どもらないようにしなさいと 言わずにはいられない親心、むつかしいですよね。どもりをなおすのには周りの人の関わりがとても大切で周りの人もどもりについてよく知ることが大切だと思います。

●吃音(きつおん)・どもりの治療
小学校卒業までは環境や家庭での練習で高率になおるといわれています。遅い話し方をする、各音節を1.5秒引き伸ばす、不安感を緩和させる、話す場面の回避を改める、吃音について心を開いて話し合う、社会生活で話す習慣を増やすようにすることなどが有効とされています。

★吃音(きつおん)の親御さんの心得★
  家族の関わりで吃音がよくなる可能性が
◎ゆっくり話しなさい 落ち着いて 深呼吸して といってはだめ
  吃音に相談する方のほとんどが ゆっくり話しなさい 落ち着いて 深呼吸して とアドバイスしたくなります。 ところがこのことが あなたの話し方は悪いから すこしどもらないように話しなさい。と子供からするととらえられます。 子供は親の期待に応えようとどもらないように努力する。どもらないように必死で頑張り、一回でも吃るとショックを受け落ち込み、自分が嫌いになっていきます。親に必要な事は吃音に対して負い目を持つ事ではなく、吃音 のある子供自身をありのまま認める事が大切です。子供が吃る事を指摘したり アドバイスしたりするのではなく、最近吃音が減ってきたね。でも、吃音がゼロにならなくても自然とへるから大丈夫だよ、と見守る事が大切です。

◎いいなおさせたり、ことばの先取りをしてはいけない
 子供が人前で吃るのがかわいそうと賢い親御さんほどことばのさきどりをしてしまいます。子供はほっとしますが、吃った時にはこの先 取りを待つようになります。家ではおしゃべりなのに幼稚園、保育園、学校ではしゃべらない子供になります。
 言葉の先取りは話したい意欲がそがれるマイナスな働きを生みます。先取りする言葉の半分くらいは間違っており、また最初から最 初から説明しないといけないと腹が立ちます。言葉がなかなかでないときオウム返し、子供が話した言葉を繰り返すことは悪い事では ありません。ここまで伝わったという安心感をよび後の言葉がうまくでてくる事もあります。吃っているときに話をさえぎり子供の話を最 後まで聞かない事はいけない事なのです。また言い直しさせる事も吃音をなおすのには逆効果で本人に多大なストレスをかけます。 吃音の治療には本人が話したいという意欲をもたせる事がとても大切になります。

◎じゃまされない じゃましないで聞いてあげる時間をつくりましょう
 おかあさんが仕事をしていたり、兄弟が多かったり、言いたい言葉を先取りされると、伝えたい欲求が満たされず話す意欲が低下 して自己肯定感が低下、自己嫌悪になり吃音が悪化します。お風呂場でもドラマのCMのあいだでもいい、本人のはなしをゆっくり 吃音を指摘せず、(オウム返しはOK) つぎは何の言葉?・・・・ などと彼だけに集中して話す言葉を待って聞いてあげる時間を作る事が話したいという意欲を向上させ改善によい効果を生みます。子供の国語の教科書の交互読みなども効果があるようです。

◎ほめる回数を増やす事(しかる回数をへらす事)で吃音がよくなる
 ほめることは特別成績がよいとか、とてもたくさん手伝ってくれた事とかそういうときにかぎらずに ありがとう という回数を増やすだ けでも効果があります。 そのお箸とって ありがとう というだけでもいいのです。こどもに腹が立って叱りたくなったときでもちょっ とその場を離れて本当に叱らなくてはいけない事か ちょっと飲み込んでかんがえてみるのも良いかもしれません。

◎聞き上手の家族が吃音をなおす
 吃音のお子さんと話すときは うん そうだね わかった などの簡単な相づちはだめ。 ことばの復唱 オウム返しが効果的です。今日腹が立ったんだ どうして腹が立ったの? これできたよ 何ができたの えっ すごいね。 また吃音のある子供が一番良い状態を作ってあげる事が大切です。親が一つ話したら子供が話すまで十分な間をつくってあげる事が効果的です。時間的なプレッシャーがなく伝わっている安心感を与える 聞き上手な環境は吃音を改善させていきます。

◎なぜ僕はどもるの? なんで○○くんはどもるの? と聞かれたら
  友達にきかれて本人が困っていたり また親に対してぼくいまのままでいいの? いけないの?という意味も含まれています。回答例ですが・・・・
  誰かにそういわれたの? 自分はどうおもう? 吃音(きつおん)といいうの 一緒にしらべてみようか?
  どもる癖なんだ、いまのままでいいよ。ほとんど自然になおるから。 頭の回転が速く口がついてこないだけ、いまのままでいいよ。
  なんで○○くんはどもるの? あんなしゃべり方なの? と子供の友達などに言われたときは しゃべり方のくせなの しゃべるのに時間がかかるの 一生懸命しゃべっているから真似したり笑わないでね などと友人にも説明してあげると普通に接してくれるようになります。

◎吃音で笑われた うまくしゃべらないと聞かれたら
  アドバイスをせず聞いてあげる事が大切です。何の時間に笑われたの? 何人に笑われたの? どんな言葉が苦手? 言いにくい言葉の前にふあんになったりする? どんな気持ちになったの? ときいたあと(愚痴を言いたいだけなんです) つらかったわね  でもあなたは悪くないのよ と伝える事が大切です。ゆっくり話しなさい等のアドバイスは逆効果。思春期などで本人が希望す  るときには言語聴覚士の先生と相談に行っても良いよとさりげなく(強要やアドバイスは逆効果)つたえてもいいです。

◎かわいそうだからと話す事や本読みを回避させてはいけない
  本読みなどを先生にたのんでかわいそうだからと回避させてはいけません。きつおんで本読みが苦手、時間がかかることは先生に先に伝えておく事も良いかもしれません。きつおんをもつひとに困難をまわりで回避させる事は 逃げれば良いんだという思考回路を生んでしまい逆効果です。どもり=悪という考え方にとらわれると 人から挨拶されても どもるから無視してしまったり言いにくい言葉を言いやすい言葉にかえて誤解を生んだり、言い換える事ができないと落ち込んだりするようになります。

◎どもりをかくさない習慣づけが吃音を改善させる
  自己紹介の時に 私は緊張するとどもったりします。時々ことばがつっかえることがありますがせかさず待ってくれるとうれしいで  す。と公表すると公表した人の前では不思議と吃りにくくなります。最初から隠してしまうと吃音をかくす努力を続ける事がひつよう  となり、どもりを隠そうとして 回避するために不誠実な行動をとり一気に信用を失う事もあります。吃る事は自分の努力不足の  ためではありません。吃る=悪ではないことを本人も家族も理解する事が大切なのです。

◎吃音とうまくつきあっていく方法
 どもることを周りの人に先に伝える事。吃った時には楽に・無理に言おうとせず穏やかに吃りましょう。すべての言い換え、回避などはせず 堂々とどもってゆっくりと言いたい事をつたえるとよいかもしれません。無理矢理吃る事を隠すとそのために自分自身も
無理するため病状を悪化させたり、その仲間のなかに自分も居づらくなります。また家族も担任の先生や友人にもきちんと伝えた方が本人のプレッシャーも減りすごしやすくなります。