後天性心疾患(こども)

症状イメージ

後天性心疾患(こども)のポイント
こどもの後天性心疾患は他の病気の一部として現れることが多いです
●後天性心疾患(こども)はどんな病気か
後天性心疾患は心臓の奇形以外の心臓病、生まれたあとに発症してくる心臓病のことです。  子どもの後天性心疾患の特徴としては、大人の心臓病で圧倒的に多い虚血性(きょけつせい)心疾患が少なく、小児期に発症しやすい全身の病気の一徴候として起こることが多いです。

●後天性心疾患(こども)の症状の現れ方
心疾患の症状には、特徴的な痛み、息切れ、疲労感、心拍が遅かったり速かったり不規則であることに気づく動悸(どうき)、頭がクラクラする、失神、下肢(脚、足首、足)の腫れやむくみなどがあります。これらの症状が必ずしも心疾患だけをを示すわけではありません。胸の痛みは、心疾患よりもむしろ呼吸器系か消化器系の障害の際に多くみられます。また子供は自分できちんと自分の症状の説明ができないので周りが注意深く観察することが大切です。

心疾患での痛み
心臓に問題があると筋肉に十分な血液が供給されず、虚血状態にある場合、筋肉は血液中から十分な酸素を取りこむことができません。さらに、組織から血液中に移行すべき老廃物が蓄積します。その結果、けいれんが起こります。 また血流が胸に締めつけられるような圧迫感を感じます(狭心症)。また血液の供給が不十分でも、まったく痛みを感じない人もいます。これを無症候性虚血と呼びます。 心臓を包む心膜の炎症(心膜炎)では、横になると悪化し、座ったり前かがみになると軽くなる痛みが生じます。深呼吸をすると悪化します。肺を覆う胸膜の炎症(胸膜炎)でも、深呼吸時に痛みがひどくなります。 動脈疾患では、身体活動に関係なく、急激に起きては消える鋭い痛みを感じます。動脈の壁の伸びた部分がふくらんだ動脈瘤や、動脈の壁の層がはがれる動脈解離によって、突然、激しい痛みが生じます。この痛みは損傷した血管の位置によって、首の後ろ、肩甲骨の間、背中の下側、腹部などに感じます。 左心房と左心室の間にある僧帽弁が、左心室の収縮時に左心房の内部へと反転することがあります。この障害は僧帽弁逸脱と呼ばれ、ときに短時間、刺すような痛みや針でつついたような痛みが起こります。普通、この痛みは姿勢や身体活動にかかわらず、左胸の下側に感じます。

●後天性心疾患の心不全の起こり方
心臓は、全身のポンプの機能を担う臓器です。十分な血液が送りだすためには、心筋に十分な収縮力、酸素が冠動脈を通して心筋に十分供給されること、心臓の刺激伝導系に異常が無いことが大切です。  心臓の筋肉の病気としては心筋炎、心筋症、心臓の弁の機能の病気としては大動脈弁狭窄(きょうさく)、大動脈弁閉鎖不全(へいさふぜん)、僧帽弁(そうぼうべん)狭窄・閉鎖不全、冠動脈の疾患としては川崎病(かわさきびょう)冠動脈後遺症、脈の異常としては各種の不整脈などがあげられます。

●後天性心疾患の注意点
心臓の筋肉や弁、脈をつくり出し伝導させる機構(刺激伝導系)は再生しません。一度ダメージを受けると再生されず、残された細胞で機能を補うしかありません。後天性心疾患は頻度は少ないものの、再生能力のない心臓に持続的な負担を与えるものが多く、子どもの将来に影響を与えるものも少なくありません。  また、心臓が負担を抱えていても、生体には代償機構(本来のはたらきに代わって行うメカニズム)がはたらくため、症状がでたときには病状が進行していることが多いようです。症状のない早期に発見し、治療していくことが大切です。