RSウイルス感染症のポイント

症状イメージ
頻度★★★
感染力が強く再発しやすい 入院・気管支挿管となる可能性もある病気
●RSウイルス感染症はどんな病気か
RSウイルスによる乳幼児の代表的な呼吸器感染症です。毎年、冬季に流行し、乳児の半数以上が1歳までに、ほぼ100%が2歳までに感染し、その後も一生、再感染を繰り返します。 ウイルスは飛沫感染で気道から侵入します。毛細気管支周囲の浮腫,充血,気管支線毛上皮の脱落,単球の浸潤によって細気管支が閉塞されます。

●RSウイルス感染症の症状の現れ方
感染後2~5日の潜伏期ののち、鼻汁、咳(せき)、発熱などの上気道症状が現れます。3割程度の人はこのあと炎症が下気道まで波及して、気管支炎や細気管支炎(さいきかんしえん)を発症し、咳の増強、呼気性の喘鳴(ぜんめい)(ぜいぜいする)、多呼吸などが現れてきます。無気肺などがおこると重症化し入院の適応となることが多いので胸のレントゲンでのチエックが必要となります。。 心肺に基礎疾患がある小児は重症化しやすいとされます。通常は数日~1週間で軽快します。喘息性気管支炎、感染性気管支喘息の症状となり、  新生児も感染して発症し、がんこな無呼吸を起こすことがあるので注意が必要です。また、細気管支炎にかかったあとは、長期にわたって喘鳴・喘息のような症状を繰り返しやすいといわれています。

●RSウイルス感染症の検査と診断は???
冬季に乳児が鼻汁、咳に引き続いて「ぜいぜい」してきたような場合には、その30~40%がRSウイルス感染症によると考えられます。鼻汁材料を用いたRSウイルスの抗原検出キットが使用可能ですが、3歳未満の入院児のみが検査の適応になります。

●RSウイルス感染症の治療は???
気管支炎の治療法とほぼ同じですが、抗生剤が細菌性気管支炎より効かないので注意が必要です。喘鳴を伴う呼吸器症状に対しては鎮咳去痰(ちんがいきょたん)薬や気管支拡張薬などを用います。  脱水気味になると、喀痰(かくたん)が粘って吐き出すのが困難になるので、水分の補給に努めます。

●RSウイルス感染症に気づいたら???
RSウイルス感染症は、保育所などで施設内流行を生じやすいので、注意が必要です。また、家族内感染も高い率で起きます。飛沫や接触により感染するので、患者さんの気道分泌物の付着した物の扱いに注意し、手洗いとうがいを励行してください。