溶連菌感染症の特徴
溶連菌感染症のポイント
頻度★★★★
要点
①症状は発熱と喉の痛みのみ 検査をしないと気づかない
②微熱で放置していると合併症(腎炎・リウマチ熱)で入院することも
③抗生剤を10日~14日のみ、検尿を受ければ合併症は心配ない病気
④何度もかかる 兄弟や大人にもうつります。インフルや他の病気の合併
⑤心臓弁膜症(心臓弁が障害され逆流を起こし手術となる)の原因疾患
のどがはれて高熱。舌が「いちご状」に
つばや鼻水からうつる感染力の強い細菌です。子ども一人がかかると、兄弟の50%、 親の20%は感染するといわれています。免疫がつきにくく、溶連菌の種類が多いので、何度も かかります。のどの痛みと発熱、イチゴ舌(写真)が特徴です。赤い細かい発疹や、一週間後指先から皮膚がむけることもあります。 院内で10分診断がつきます(溶連菌迅速反応)。高熱、のどの痛み、嘔吐頭痛、腹痛などの症状が見られます。首のリンパ節がはれたり、中耳炎や筋肉痛 関節痛などがあらわれることも。溶連菌に効く抗生物質を10日間から14日間飲みます。
きちんと治療しないでほうっておくと、溶連菌感染後腎炎やリウマチ熱をおこすことがあります。薬を10日~14日間服用した後、2週間後とさらに1か月後に尿検査を受けて、溶連菌感染後腎炎の合併症を起こしていないか確認しておくことが大切です。
溶連菌感染症の症状
溶連菌の咽頭炎では、潜伏期は2~5日です。主に2~10歳頃に多く(ピークは5~10歳頃)、成人には少なめ また季節的には、12~3月に一番多い
(1)咽頭炎・扁桃腺炎
発熱、咽頭痛、、扁桃腺に白いものがつく(偽膜性扁桃腺炎)。(そのために口臭があることも多く、血液の混じった黄色い痰が出ることもある)偽膜性扁桃腺炎は溶連菌以外の細菌性の物もあり、抗生剤の点滴が必要となることもあります。
(2)口蓋の点状紅斑・点状出血
口の中の口蓋垂(のどちんこ)を、中心に赤い小さな点状の出血斑。
(3)イチゴ舌
舌の表面が、イチゴの表面のようになります。いちご舌は伝染性単核球症や川崎病でも見られます。
(4)全身発疹
顔や股のところに、小さい赤い発疹が多数出現 かゆみを伴うことも多いようです。これも川崎病などでもみられます。
(5)皮膚落屑
いろいろな症状が消えた後(5~6日目以降)に手や足の指先から皮がめくれてきます。これも川崎病などでも起こります。
(6)その他の症状
頭痛・全身倦怠感、発熱などで普通の風邪と見分けが付きません。
溶連菌感染症は合併症が怖い
(1)一般的な合併症
中耳炎・気管支炎・リンパ節炎・副鼻腔炎など
(2)溶連菌感染後急性腎炎
溶連菌感染後、~4週後に発生することが多い。突然、むくむ、尿が出ない、血尿や蛋白尿がでる 血圧が上がるなどの急性腎不全の状態になります。予後は良好で1~2年のうちに90%以上は治癒しますが、入院や安静、食事制限、体育の見学などが必要になります。
(3)リウマチ熱
溶連菌感染後に、発熱や身体の各部に炎症が認められます。(多関節炎、不随意運動、皮下結節、心炎)心弁膜症をおこすことがあり、悪化を防ぐため抗生物質を長期に内服する必要があります。
(4)血管性紫斑病
溶連菌感染などの感染後や予防接種などの後に、出血斑などの発疹・激しい腹痛や関節痛・浮腫などを認めます。引き続き紫斑病性腎炎を起こすこともあります。
なおるのはいつ? 家族にはうつるの? 学校にいけるのはいつ
家族への感染
溶連菌と、診断された場合には、風邪の症状のある家族も検査をするのが理想的でしょう。 (兄弟で50%、親で20%感染しており、感染者の50~80%発病するという 報告もあります。)
学校や園によって異なる対応
溶連菌感染では発熱や発疹がおさまり、抗生剤を服用2日後以降になります。