修正大血管転位症のポイント

症状イメージ

肺動脈大動脈の転位と右心室左心室が同時に入れ替わります
●修正大血管転位症はどんな病気か
大血管が入れ替わった前項の大血管転位に加え、心房と心室の位置関係も逆になった状態です。つまり、右心房―左心室―肺動脈、左心房―右心室―大動脈となっており、静脈血が肺へ、動脈血が全身へ流れるように「修正」されています。  先天性の心疾患で、頻度は全先天性心疾患の1%強程度です。多くは心室中隔欠損(しんしつちゅうかくけっそん)や肺動脈狭窄(きょうさく)などの心奇形を伴います。

血行動態は正常なため、この疾患自体による症状は見られません。年をとるにつれ房室伝導障害や左室房室弁逆流が生じ、心不全がおこってきます。心室中隔欠損や肺動脈狭窄症を合併することが多くそれが心不全の原因になることもあります。

●修正大血管転位の症状の現れ方
心臓はもともと1本の管が、右方向に折れ曲がって形作られていきますが、それが左方向に折れ曲がったために発生するといわれています。

●修正大血管転位の検査
症状の現れ方  合併心奇形がある場合には、心雑音やチアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色になること)が認められます。ない場合は血行動態的には正常なので、症状はありません。しかし本来、右心室は全身に血液を送り出すためのポンプではないので、長年の負荷に耐えられずに三尖弁(さんせんべん)逆流や心不全が生じる人もいます。

●修正大血管転位症の検査と診断
合併心奇形に対する検査(心エコーなど)で初めて気づくこともありますが、弁膜症や合併症菜合併奇形がないと症状がなく、学校検診の心電図異常で見つかることもあります。

●大血管転位症の治療は?
大きな合併心奇形がなく、三尖弁逆流が軽度ならとくに治療は必要ありません。   合併心奇形に対する手術が必要な場合、条件がそろえば本来あるべき血行動態(左心房―左心室―大動脈、右心房―右心室―肺動脈)に治す手術もあります。三尖弁の逆流が高度になってしまった場合は、三尖弁を治す手術が必要になる場合もあります。 それぞれの合併奇形の正確な評価で治療方針が大きく変わるため専門医での注意深い経過観察が必要です。