頻度★★★
要点
①右心房と左心房の間にある弁の逆流
②肺の病気の併発が原因となることも
③治療が不要なことも。心房細動が起こりやすくなる
④心雑音が小さいことも多く検診などでは見逃されやすい

(1)三尖弁閉鎖不全症とは
全身を巡った血液は、心臓の右心房へ戻り、右心室を通って肺へと送り出され、酸素を取り込みます。この右心房と右心室の間にあって、2つの部屋を遮るドア(逆流防止弁)となり、血流を一定方向に保つ役割を果たしているのが三尖弁です。三尖弁閉鎖不全症とは、三尖弁が完全に閉鎖されないために、一度右心室へと送り出された血液が右心房へ逆流する病気のことをいいます。
(2)発症の原因
三尖弁自体の障害によるものと、三尖弁そのものは正常でありながら、別の心疾患や肺の病気など、他の病気が原因で弁に異常が出るものの、2つに大別されます。別の疾患で逆流が起こるものが多く原因を明らかにする検査が必要となります。
(3)症状
通常ほとんど症状がでることはありませんが、重症になると、疲れやすく頚の動脈の拍動感、右上腹部の不快感、腹部膨満感や足のむくみなどの自覚症状が出現します。
(4)検査について
重症化するまで自覚症状を感じず、健康診断でも見つかりにくく聴診や心電図検査でもわからないことが多い病気です。当院でも他の理由で施行した心エコーでわかるものがほとんどです。エコーにより病気の程度や進行度を調べます。弁の状態や逆流の程度から重症度を判断、別の心疾患や肺の病気などの原因を探る手立てにもなります。重症度を判断します。
(5)治療方法
治療が必要無いこともありますが、心房細動の原因になります。むくみ等の心不全症状が出現してきた場合は、減塩食とともに利尿薬の投与など内科的な治療を行います。
他の疾患が原因で弁に異常をきたしている場合、その疾患を治療することで三尖弁の異常が改善されることもあります。重症化して右心不全が残る場合には外科手術の適応となります。