日々の生活や教室内で最も「わざと忘れている」「だらしない」と怒られてしまいがちな、「ワーキングメモリ(WMI):脳のメモ帳の広さ」に関する10個の実例と対処法を作成いたしました。
それぞれの行動に対して「なぜ大人が怒ってしまうのか(怒る理由)」という心理的な背景にも踏み込みました。これを明記することで、保護者や先生方が「あ、自分もこれで怒ってしまっていたな」と客観的に振り返り、脳の特性への理解と優しいアプローチ(対処法)へスムーズに移行できるよう工夫しております。
ホームページにそのまま掲載できる洗練されたフォーマットです。
4. ワーキングメモリ(WMI)の凸凹:家庭・学校で見つかる10のサインと対処法
「情報を一時的に頭に留めて処理する力(ワーキングメモリ)」の偏りは、日常生活の「うっかり忘れ」や「聞き漏らし」に直結します。よくある10の具体的な場面、大人が怒ってしまう理由、そして解決策をまとめました。
① 複数の指示を出すと、最後のひとつしかできない(または全部忘れる)
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【サイン】 「手洗いをして、宿題を机に出してから、お着替えしてね」と3つ指示を出すと、お着替えしかしていない、あるいは手を洗っただけで力尽きてしまう。
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😡 大人が怒ってしまう理由: 「さっき目の前で言ったばかりなのに、どうして真面目に聞いていないの!」と、子どもの態度や集中力のなさのせいにして怒ってしまいがちです。
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🤝 家族・学校の対処法: 脳の作業机が狭いため、3つの情報が乗るとフリーズします。口頭指示は必ず「1回につき、1つの行動」に絞ります。「まずは手を洗っておいで」→(できたら)「次は宿題を机に出そうね」と、ステップごとに指示を出します。
② 「2階に物を取りに行って」と頼むと、行った先で何をするか忘れる
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【サイン】 「2階からお母さんのスマホと、ハンカチ持ってきて」と頼まれて階段を上がったものの、2階に着いた瞬間に目的を忘れ、関係のないおもちゃで遊び始めてしまう。
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😡 大人が怒ってしまう理由: 「頼み事を引き受けたのに、途中でサボって遊び始めた」と、本人の責任感のなさや不真面目さに対して怒ってしまいます。
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🤝 家族・学校の対処法: 階段を移動するという「次の行動」に移った瞬間、前の記憶が脳から消去されています。物を頼むときは、「スマホと、ハンカチ」と書いた小さなメモ用紙を持たせるか、指を2本立てさせて「2つ取りに行くものがあるよ」と意識させながら移動させる工夫が有効です。
③ 先生の長い話を聞いているうちに、最初の指示やテーマを忘れてしまう
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【サイン】 朝の会や授業の冒頭で、先生が「今日はまず算数の教科書を開いて、そのあと…」と長く説明していると、話し終わる頃には「結局、いま何をすればいいんだっけ?」と周りをキョロキョロ見始める。
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😡 大人が怒ってしまう理由: 「先生が前を向いて話しなさいって言ったでしょう!」「話を聞いていないから分からないのよ」と、傾聴する姿勢の悪さを叱ってしまいます。
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🤝 家族・学校の対処法: 耳からの情報を長い文章でキープし続けるのが苦手です。学校の先生には、「指示は短く区切って話す」「大事なキーワード(例:算数 32ページ)を必ず黒板の隅に書いておく(視覚化)」といった配慮をお願いしましょう。
④ 宿題の途中で「消しゴム」を探しに席を立つと、そのまま戻ってこない
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【サイン】 宿題中に「あ、消しゴムがない」とリビングへ探しに行き、消しゴムは見つけたものの、目に入ったテレビや漫画に吸い寄せられてそのまま宿題を放棄してしまう。
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😡 大人が怒ってしまう理由: 「勉強から逃げるために、わざと言い訳を作ってサボっている」と、勉強へのやる気のなさを責めてしまいます。
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🤝 家族・学校の対処法: 「消しゴムを探す」という新しいタスクに脳のメモリが乗っ取られ、「宿題の途中である」という記憶が消えてしまっています。席を立つ前に「いま宿題の途中だから、消しゴムを取ったらすぐ戻るよ」と本人の口から声に出して言わせる(セルフモニター)か、最初から勉強机の上に予備の文房具をすべて揃えておき、席を立たせない環境を作ります。
⑤ 会話をしていて、自分が何を話そうとしていたか途中で見失う
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【サイン】 「お母さん、あのね!今日学校でね…」と勢いよく話し始めたものの、途中で「あ、えっと、なんだっけ…」と話が迷子になり、結局何を伝えたかったのか分からなくなってしまう。
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😡 大人が怒ってしまう理由: 「何が言いたいの?」「話をまとめてから喋りなさい!」と、せっかちな大人のペースで子どもを急かし、イライラをぶつけてしまいがちです。
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🤝 家族・学校の対処法: 話のオチや全体像を脳内で保持しながら、言葉を紡ぎ出す作業が同時にできません。大人は話を遮らずに「うん、学校で何があったのかな?」と優しく待ち、「楽しかったこと? びっくりしたこと?」と、話のジャンルを絞り込むためのクイズのように質問して、記憶の手がかりを一緒に探してあげる接し方がベストです。
⑥ 算数の計算で、繰り上がりや繰り下がりを「うっかり」忘れてミスをする
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【サイン】 筆算のやり方は完璧に理解しているのに、頭の中で足し算をしているうちに、繰り上げたはずの「1」を足し忘れて、いつもお決まりのケアレスミスを連発する。
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😡 大人が怒ってしまう理由: 「また同じミスをして!見直しをしなさい!」「落ち着いて解けばできるのに!」と、注意力の散漫さや不注意を叱ってしまいます。
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🤝 家族・学校の対処法: 頭の中だけで「繰り上がりの数字」をキープするメモ帳の余裕がありません。「繰り上がりの『1』は、必ず小さく筆算の上の余白に書く」というルールを徹底させ、脳の暗記負担をゼロにします。見直しをする際も、「繰り上がりの数字が書かれているか」だけをチェックする視点を持たせます。
⑦ 暗算が苦手で、簡単な計算でも指を使ったり、すぐに疲れてしまったりする
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【サイン】 「15-7は?」といった簡単な計算でも、頭の中だけで数字を操作できず、指を折って数えたり、計算ドリルを数問解いただけで「頭が痛い、もう無理」と激しく疲弊する。
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😡 大人が怒ってしまう理由: 「もう○年生なんだから、指を使わないで頭で計算しなさい!」「努力が足りないからパッと答えが出ないのよ」と怒ってしまいます。
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🤝 家族・学校の対処法: 暗算はお子様にとって、狭い机の上で巨大なパズルを組み立てるような激しい重労働です。指を使うことを決して否定せず、むしろおはじきや数え棒、100玉そろばんなどの視覚的な教材を積極的に使い、脳の負担を物理的に減らしてあげることで、計算への苦手意識を防ぎます。
⑧ 忘れ物がとにかく多い(宿題をやったのに、家に忘れてくる)
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【サイン】 前日の夜に一生懸命宿題をやったはずなのに、翌朝ランドセルに入れ忘れる。ハンカチ、水筒、傘など、毎日のように何かを学校や学童に置き忘れてくる。
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😡 大人が怒ってしまう理由: 「毎日毎日、どうして同じ忘れ物をするの!」「自分の持ち物に責任を持ちなさい!」と、だらしなさや自己管理能力の低さを怒ってしまいます。
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🤝 家族・学校の対処法: 「宿題が終わった達成感」で脳が満杯になり、「ランドセルにしまう」という次のステップが記憶から消去されています。お家では、玄関のドアやランドセルの定位置に「持っていくものチェックリスト(イラスト付き)」を貼り、家を出る直前に目で見て確認するシステムを作ります。学校用には、帰りの会で見直せるリストを用意してもらいます。
⑨ 物の「貸し借り」の約束を忘れ、トラブルになる
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【サイン】 お友達から「明日この本返してね」と約束して借りたのに、翌日持っていくのをすっかり忘れ、お友達から「嘘つき」「約束を破った」と責められてしまう。
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😡 大人が怒ってしまう理由: 「お友達との約束は一番大事でしょ!信用を失うよ!」と、人間関係のモラルや誠実さの問題として激しく叱ってしまいがちです。
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🤝 家族・学校の対処法: 約束の重さは理解していても、時間の経過とともに記憶の引き出しの奥底に埋もれてしまいます。約束をしたその場で、本人の手の甲に小さくスタンプを押す、スマホのリマインダーに登録する、借りた瞬間にカバンの中の一番目立つ場所に入れるなど、「物理的な証拠」をその場で残す習慣を大人が一緒に作ってあげましょう。
⑩ 音読の宿題のとき、文章を勝手に変えて読む(飛ばし読み・勝手読み)
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【サイン】 国語の音読で、書いてある文章をそのまま読むのが難しく、「~です」を「~だ」に変えたり、助詞(が、を、に)を抜かしたり、一行丸ごとジャンプして読んでしまう。
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😡 大人が怒ってしまう理由: 「ちゃんと教科書を見て読みなさい!適当に読まないの!」と、雑な取り組み姿勢に対して怒ってしまいます。
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🤝 家族・学校の対処法: 目で見た文字を一時的に脳に留め、音声として出力する処理の途中で文字情報がこぼれ落ちています。対処法として、大人が先に1行読み、そのあとに子どもが真似して読む「追いかけ読み(シャドーイング)」をしたり、指や鉛筆の先で「いま読んでいる文字」をトントンと叩きながら読ませることで、目と脳の連動をサポートします。
「ワーキングメモリ」の弱さは、大人の感情のスイッチ(「さっき言ったでしょ!」)を最も押しやすい部分です。だからこそ、「怒る理由(大人の勘違い)」をワンクッション挟むことで、読んだ親御さんがハッと気づき、叱責の手を止めて具体的な工夫へ向かうことができるコラムに仕上げました。






