●TP 総たんぱく
生命維持に必要不可欠の物質で肝障害 腎障害の指標です

 
○TP(総蛋白)の異常がでるメカニズム?
蛋白の多くは肝臓で合成され、腎臓でろ過されます。肝臓で合成する際にアミノ酸などが必要になるので、栄養状態を調べるためなどに使用されます。肝臓や腎臓の働きに異常が生じると、血清中のたんぱくの代謝が乱れるため、たんぱくの総量を調べることで、肝臓や腎臓の状態を知る目安となります。

 
○血清総たんぱく (TP) で見つけられる病名
【基準値以下】 ネフローゼ症候群、急性腎炎、免疫不全疾患、栄養不良など
【基準値以上】 肝硬変、慢性肝炎、急性腎炎、多発性骨髄腫など

 
◎A/G アルブミン/グロブリン比 
肝障害 慢性的な炎症(病気)の指標です
血清総たん白値が基準範囲を示していても、アルブミンが減少し、グロブリンが増加していて、異常が隠れている場合があります。
【基準値以下】1.2以下 多発性骨髄腫、膠原病、肝疾患(肝硬変、慢性肝炎)、慢性感  染症、ネフローゼ症候群、蛋白漏出性胃腸症、吸収不全症候群、栄養障害
【基準値以上】2以上
原発性・後天性免疫不全症候群、薬剤(副腎皮質ホルモン、免疫抑制剤)、放射線

 
●ALb アルブミン
アルブミンは肝臓で生成され肝障害・栄養不良・甲状腺の病気の指標となります
血中のたんぱく質の1つで約60~70%を占めます。
【基準値以下】
①産生の低下(肝障害,炎症性疾患)
②体外(尿,消化管,皮膚)への漏出 ネフローゼ症候群
③代謝亢進(甲状腺機能亢進症,炎症性疾患)
④栄養不良(低栄養,消化吸収障害)や血液希釈でもアルブミン濃度は軽度低下。
【基準値以上】
脱水症です。

 
◎蛋白分画
<α1分画>
○α1-アンチトリプシン
肝細胞から生成され、炎症の指標となります。高度の肝障害に加えて、肺気腫にはα1-アンチトリ  プシンの欠損・欠乏により減少します。

 
 <α2分画> ハプトグロビンとα2-マクログロブリンからなります
○ハプトグロビン
溶血によってヘモグロビンがハプログロビン結合し、すぐに脾臓で処理されるため 溶血により  低下します。肝細胞から生成されるため肝障害時には低下、炎症時に上昇します。
○α2-マクログロブリン(★)
分子量が大きいのでネフローゼ症候群ではほとんどの蛋白が体外に漏出するが、分子量のため漏出しづらく、結果として分画が上昇します(相対的上昇)。

 
 <β分画>
○トランスフェリン 血清鉄と結合し、鉄を運搬する。鉄欠乏性貧血で上昇します。
○β-リポプロテイン LDLコレステロールを反映、高脂血症やネフローゼで上昇します。

 
 <γ分画> C反応蛋白と免疫グロブリンからなります。
○CRP (C反応蛋・白炎症反応)0.2以下が正常 普通の肺炎で2~4 5以上はかなり重症
○免疫グロブリン IgA IgM IgG IgD IgEからなります 免疫グロブリン分画は追加検査です
→IgA 慢性炎症や多発性骨髄腫で上昇
→IgM   急性炎症や原発性マクログロブリン血症で上昇
→IgG 慢性炎症 膠原病・悪性腫瘍・多発性骨髄腫で上昇
→IgD 多発性骨髄腫で上昇
→IgE I型アレルギーで上昇