陰嚢水腫

症状イメージ

陰嚢水腫のポイント
陰嚢(いんのうにみずがたまる病気)
●陰嚢水腫はどんな病気か
陰嚢(いんのう)に水がたまってしまう病気です。大きくふくらんだり、左右の大きさが違ったりするので気づきます。痛みもなく、 ほとんどは片側だけに起こります。後天性の物は40歳過ぎて発症します

●陰嚢水腫の原因は?
母親のおなかにいる時には、赤ちゃんのおなかのなかにあった精巣(せいそう)(睾丸(こうがん))が、生まれるまでには陰嚢に 降りて袋に入ります。陰嚢が通った道は、普通は自然に閉じます。陰嚢水腫は、この道の閉じるのが遅かったり、うまく閉 じないことが原因で起こります。後天性のものは外傷、精巣上体炎、精巣癌などで水腫が生じることがあるのでエコーなどでの 原因検索が必要です。

●陰嚢水腫の症状の現れ方
陰嚢が大きくなります。痛みはありません。赤ちゃんの陰嚢を後ろから懐中電灯で照らして、透(す)けて見えた場合、 陰嚢水腫の疑いがあります。

●陰嚢水腫の検査と診断
超音波検査で陰嚢にたまっているものが水分であることを確認します。

●陰嚢水腫の治療は?
ほとんどの場合、1年ほどで自然に吸収されるので経過をみます。2歳を過ぎても水が吸収されない場合や陰嚢が異常に 大きい場合は、手術をすることがあります。針を刺して水を出す方法は、治るのを遅らせることがあるといわれ、今日では あまり行われません。水腫が異常に大きい場合は手術の適応となることがあります。圧迫すると水腫がなくなる鞘状突起 開存による交通性陰嚢水腫では開存が広ければ 鼠径ヘルニアの手術をおこない治療します。 実は、陰嚢水腫と鼠径ヘルニアとは、兄弟筋の病気なのです。厳密には病気とも言えません。誰でもなった可能性があります。少し専門的な事をお話しすると、これは胎生期、タマタマ(睾丸、最近は精巣といいます)が陰嚢内に降りてくる事と関係しています。この精巣下降のときに腹膜のでっぱり(これを腹膜鞘状突起といいます)ができます。これが腹腔内と交通したまま大きく開いて残っていているのが鼠径ヘルニアで、途中くびれるようにくっついてその末梢が袋状に残ったのが陰嚢水腫なのです。

●陰嚢水腫に気づいたら 注意点は?
乳児の場合は手術せずに経過をみますが、1年たっても変わらない時や、だんだん大きくなっていく時や痛がる時は、 小児科医に相談してください。 陰嚢が大きくなる病気として、他に、精索静脈瘤、精巣炎、副精巣炎、精巣捻転、精巣垂捻転などがあります。