斜頚(筋性斜頚・痙性斜頸)

症状イメージ

斜頚(筋性斜頚・痙性斜頸)のポイント
筋性斜頚
●筋性斜頚とは
斜頸とは、頭と首が側方に傾いてしまう状態です。筋性斜頸は全新生児の0・08~
1・9%にみられ、骨盤位分娩(こつばんいぶんべん)(いわゆる逆子(さかご))における
発生頻度が高いといわれています。分娩時の外傷により頸部(けいぶ)(首)の前面を
斜めに走る胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)の筋線維内に結合組織の増殖が起こ
り、次第に増生して緊張が強くなります。そのため、患児の頭部および顔面は悪い方
に傾き、よいほうに回旋します。

●筋性斜頚の症状と検査
両親が患児の頸部腫瘤(しゅりゅう)に気づくことが最初のこともありますし、頸部の側
屈あるいは回旋制限によって気づくこともあります。また、頸部の可動域は患側(悪
いほう)の顔面への回旋が制限され、常時顔は健側(よいほう)を向いています。一
方、側屈は患側へ傾く方向で、健側には動く範囲の制限がみられます。
症状が学童期まで続くと、顔面の形状に左右非対称が現れることがあります。
両手で胸鎖乳突筋の硬度を調べます。また、回旋制限や側屈に制限がないかを調
べ、これらに制限がある場合は筋性斜頸と診断されます。検査は両手で胸鎖乳突筋
の硬度を調べます。回旋制限や側屈に制限がある場合は筋性斜頸と診断されます。

●筋性斜頚の治療
生後1年半までは、保存的に治療を行うのが通常です。具体的には、患児の顔面が正面を向くように枕やタオルで工夫します。授乳や話しかけはできるだけ患側から行い、患側を向く時間が長くなるように工夫します。  自然治癒が多くみられますが、そうでない場合は生後1年半くらいまで待ってから、胸
鎖乳突筋の腱切り術といわれる手術を受けます。

痙性斜頚
●痙性斜頚とは
痙性斜頸とは頸部(首)周囲の筋肉、とくに前面を斜めに走る胸鎖乳突筋や、上
肢と体幹を連絡する僧帽筋(そうぼうきん)の異常な緊張亢進によって引き起こされ
る病気で、頭部が一側方へひきつれた、あるいはねじれた状態をいいます。

●痙性斜頚の原因
いろいろな説があり、はっきりとした原因はわかっていません。器質的な変化がある場合
は、中枢神経に問題がある場合と末梢神経に対する刺激性変化が原因があります。
器質的な変化がない場合でも、精神的な要素の関与により発症することがあります。

●痙性斜頚の症状の現れ方
原因が多様であるために、現れる症状も多様です。徐々に症状が増悪してくる場合も
急激に症状が現れる場合もあります。
頸部は片側に向かって回転し、通常は他方へ傾斜する傾向にあります。これらの変位
が持続性のこともありますが、通常は間代性(かんたいせい)(間隔をおいて現れる)で不
規則にけいれんし、臥床(がしょう)すれば軽減し、睡眠中には発作が停止します。
逆に活動時、とくに精神的に緊張状態にある時には増悪します。けいれんとともに、筋
の付着部に疼痛を伴います。

●痙性斜頚の治療
原因把握が大切。精神的な要素が考えられる場合には、精神療法や精神安定薬
がよく効くことがあります。器質的な病変がある場合は、手術的治療が行われることも。