頻度★★
要点
脳の動脈瘤からの出血
(1)くも膜下出血とは
くも膜下出血とは、脳表面のくも膜の下の出血です。脳動脈瘤(脳血管のふくらみ)の破裂で起きます。くも膜は、
脳には3層の膜(外側から硬膜、くも膜、軟膜)の一つです。くも膜と脳との間(くも膜下)には脳の栄養血管
である動脈が走り、脳を保護する脳脊髄液(無色透明液)が循環しています。年間1万人に二人起こり日本人
の中高年に多く、喫煙、高血圧、過度の飲酒、家族歴が危険因子となります。
(2)くも膜下出血の原因
その9割が脳動脈瘤(脳血管のふくらみ)の破裂で起きます。脳動脈瘤は、無症状で動脈の枝分かれする部分と
脳底部にできます。残り1割が能動静脈奇形の破裂で起きます。脳卒中(脳内出血・脳梗塞)の10%がくも膜下出
血です。
(3)くも膜下出血の症状
①突然の、バットで殴られたような、生まれて今までに経験したことのないような頭痛と吐き気
②何時何分に起きたといえるような頭痛 軽減することない強い頭痛 そのまま意識がなくなることも
くも膜下出血が保護膜を刺激し頭痛を発症、その症状は激烈です。突然、強い頭痛と吐き気で倒れ意識がなく
なったらくも膜下出血を疑って救急車を呼ぶべきです。くも膜下出血は治療開始時間との勝負です。
(4)くも膜下出血の診断
頭部CT検査で頭蓋骨の内側・脳の周囲に出血を示す高吸収域(白く描出される)が見られれば、診断はつきます。画像ではっきりしないときに腰椎穿刺を行う事もあります。
頭部MRI検査・MRA検査(MRIを使って脳血管を調べる)その後、すぐに脳血管撮影を行い、破裂した脳動脈瘤や脳動静脈奇形の診断をします。
(5)くも膜下出血の治療
①初期治療 初期治療では鎮静・鎮痛(頭痛が強いと血圧上昇→再破裂) 鎮静剤や降圧剤が投与、脳圧をさげる薬を使います
②破裂脳動脈瘤の治療 破裂脳動脈瘤の治療は開頭して動脈瘤に対して、クリッピングという手術をします。血管内手術(血管のなかへカテーテルを挿入し、コイルを入れて動脈瘤の内側に詰める塞栓術)を行うこともあります。患者さんの年齢、動脈瘤の部位、大きさ、形、合併症などによりますが、病状があまりにも重症の場合は、手術ができないこともあります。
③脳血管れん縮の治療 くも膜下出血は、脳のダメージと、脳動脈そのものにも変化を起こします。脳血管攣縮(れんしゅく)と呼ぶ血管が細くなる変化は、脳の血液不足を起こし脳梗塞の原因になります。そのため止血後はれん縮予防薬や動脈拡張薬などの投与をすることもあります。この現象は発症4日目から14日目に多く見られ、この時期は集中的な治療が必要です。くも膜下出血のダメージとこの時期の脳梗塞のダメージが重なると、後遺症や生命の危険がより高くなります。
④正常圧水頭症への対処 動脈瘤処置後に慢性髄液吸収障害がおこり水頭症(頭に髄液がたまる病気)が認知症状、尿失禁、歩行障害などを起こすことがあります。シャント術(髄液のながれでるところを作る)ことで改善できます。






