老人性難聴(加齢性難聴)
概要
老人性難聴(加齢性難聴)とは、年齢を重ねるにつれて聞こえづらくなること、聴力の低下です。きこえづらくなると他人とのつながりがおっくうになり、ひきこもりぎみになります。外出も周りの音が聞こえず怖くなり、うつ病や認知症の発症につながる危険性も秘めています。

原因
音の感じるために必要な(蝸牛の中の)有毛細胞が入り口の近くから順番に減っていくことが原因となります。入り口から高い音→奥は低い音に感じるため高音域から聴力が低下しています。
運動不足、睡眠不足、食事の偏り、肥満、高血圧、糖尿病、喫煙、騒音暴露、心血管系疾患、脳血管系疾患、ストレス、不眠なども難聴を進める危険因子と考えられています。

症状
音のみ聞こえなくなるのでなく、「言葉の聞こえ」も低下することが特徴です。アラーム音やクラクションなどの単純音とともに、言葉の聴こえの方が悪化します。聞こえても何を言っているのか理解できないという状態も併発します。
相手が話している内容が理解しにくくなるため、周囲の雑音などに気を取られやすくなり集中力も低下します。騒音の中での会話を聞き逃してしまいます。時間分解能の低下といって、ゆっくり話してもらわないと理解しづらいことが特徴です。老人性難聴が生じると会話がスムーズに出来なくなるため、他人との接触を避けるようになります。それが家へのひきこもりにつながり、外部からの刺激が低下するため、うつ病や認知症の発症・進行につながることもあります。

★老人性難聴(加齢性難聴)を自分で判断する
□電子レンジや体温計などの音に気づかなくなった
□テレビの音を大きくするようになった
□会話を聞き返すことが多くなった
□話し声が大きくなった
□耳鳴りがする
□高い音が聞き取りにくくなった
一つでも当てはまったら耳鼻科またはかかりつけ医がかかりつけ医も聴力検査は出来る病院が多いのでそこで相談されてください。

★老人性難聴(加齢性難聴)を遅らせるためには
①大きな音の出る職業で耳栓などで耳を守る
②蓄膿症や慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などの病気を継続治療して鼻閉鼓膜や耳管など耳に負担をかけないようにする。
ちなみに僕院長自ら毎日葛根湯加川きゅう辛夷(かっこんとうかせんきゅう しんい) KB2は毎日服用、夜間睡眠を妨げないようにフルチカゾン点鼻 薬を使用して難聴予防をしています。
③イヤホン・ヘッドホンで長時間大音量の音楽を聴くのを控える(耳管を短く・音量を下げて使用する)。大音量のコンサートによく行くこと。またこれは個人的意見ですが、最近はやりのノイズキャンセラーは耳に負担になるのではと疑っています。ノイズキャンセラーも使いすぎは毒ではないかと。ですから僕は飛行機と新幹線に乗るとき以外のみノイズキャンセラーで音楽を流すのではなくノイズキャンセラーのみ使用しいます。
④絶えず騒音のする生活環境にいること
⑤高血圧・糖尿病・高脂血症・肥満の治療をすること
動脈硬化が起こり栄養血管や微細血管にダメージを与えるため
⑥喫煙 これも動脈硬化 血管収縮作用による阻血、夜間酸素分圧低 下により細胞破壊などがあるので難聴が発症したら早期禁煙がをおす すめします。
若年発症型両側性感音難聴 遺伝子的問題で難聴になりやすい方もいるので同年代より聞こえが悪いと気づいたらすぐ耳鼻科やかかりつけ医に相談してください

検査・診断
純音聴力検査や語音明瞭度検査といった聴力検査を行います。純音聴力検査はヘッドフォンを当て、125Hz〜8000Hzの各音程領域を流して、どの大きさの音が聞こえるか調べる検査です。老人性難聴では両側性に障害を認め、特に高音領域が悪化しています。言葉の聞こえがどの程度かはご恩明瞭度検査で評価します。「シ、チ、キ」などの単音を聴いてもらい、正確に語を判別できるか調べます。老人性難聴の方は正答率が著しく低下します。

治療
進行してから改善することは困難です。軽度のときから「補聴器を使って聴覚刺激をきちんと入れる」「大きな音を避ける」「バランスのよい食生活を心がける」「適度な有酸素運動を行う」「禁煙を徹底する」などを行うと進行の予防につながる可能性があります。

補聴器を効果的に使用するには、難聴発症後早くから使い始め、訓練を行うことが大切です。ただし、老人性難聴では聞こえる音が大きくなっても言葉を完全に理解できるわけではありません。また、補聴器を導入することで聞こえる雑音が増え逆に聞き取りが悪くなることもあります。使用に際しては医師や補聴器屋さんとよく相談することが重要です。両側高度難聴となった場合は人工内耳も選択肢となります。
また最近は言語聴覚士による聞き取りのトレーニングをする方法もあります。
これは言語聴覚士がいった言葉をおおむがえしに患者さんが発語するトレーニングです。コミュニケーションがスムーズに出来る 外出が自由に出来る等の効果があり認知症の予防になります。

補聴器の使い方のこつ
①徐々に使用時間を延ばす
②使用開始時は音をやや小さめに設定
③自分に合うようになるまで補聴器の調整をしてもらう
ことです。
補聴器は保険適応になるのはかなり難聴が進んでからです。障害者総合支援法の6級の適応となるくらい(大きな声で話しても40cmでの会話が聞き取れない程度)からです。
でもお金がないからと早期の装着に戸惑われる方は細かな調整は出来ませんが集音器という形で(医師や補聴器屋さんのアドバイスは受けにくく保証もありませんが)1万円を切るモノも発売されています。ただし細かな調節は望めずとりあえずかかりつけ医や耳鼻科の先生に相談してください。
当院では患者さんが年金生活でお金がないとのことで1万円以下の集音器を代わりに使用している患者さんもいます。