①潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎とは潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に炎症や潰瘍ができる慢性の病気です。原因は不明ですが、免疫系の異常や腸内細菌の影響が考えられています。患者数は日本で約16万人で、男女ともに20代から30代に多く発症します。この病気は完治が難しく、国の指定難病になっています。

潰瘍性大腸炎の主な症状は、下痢や血便、腹痛などです。重症になると、発熱や体重減少、貧血などの全身症状や、皮膚や関節、眼などの合併症が起こることもあります。また、大腸がんになるリスクも高まります。
②潰瘍性大腸炎の診断は
潰瘍性大腸炎の診断は、血液検査や便検査で感染症などを除外した後、内視鏡検査やX線検査で大腸の粘膜の状態を調べます。内視鏡検査では、粘膜の一部を採取して顕微鏡で見ることもあります。

潰瘍性大腸炎の治療は、主に薬物治療です。活動期(炎症が起こっている期間)には、5-アミノサリチル酸製剤やステロイドなどで大腸の炎症を抑えます。寛解期(炎症が治まっている期間)には、5-アミノサリチル酸製剤(リアルダ)を毎日飲み続けて再発を予防します。また、免疫調節薬や抗TNF-α抗体製剤なども使われることがあります。重度の場合や薬物治療が効かない場合には、大腸を全て摘出する手術を行うこともあります。

潰瘍性大腸炎の患者さんにとって、生活指導や運動指導、食事指導、禁煙指導は重要です。生活指導では、ストレスを避けたり、十分な睡眠をとることが大切です。運動は、体力をつけたり、便通を改善したりすることが目的です。便秘や宿便が腸に悪い影響を与えます。食事指導では、野菜の摂取量を増やし栄養バランスの良い食事を摂ることや、下痢や腹部不快感を引き起こす食品(辛いもの)を控えることなどが勧められます。禁煙指導では、喫煙は潰瘍性大腸炎の再発や重度化に影響する可能性があるため、禁煙することが望ましいとされます。
潰瘍性大腸炎(UC)患者様へ~お腹を守りながら、食べる楽しみを取り戻す食事ガイド~食事は、私たちの体を作り、心の栄養にもなる大切な時間です。「あれもダメ、これもダメ」と怖がりすぎる必要はありません。病気の時期(活動期・寛解期)に合わせて、調理法や食材の選び方を少し工夫するだけで、食べられるものはぐっと広がります。1. 今、お腹はどんな状態?「信号機」で考えましょう【赤信号・黄信号】 活動期(お腹が痛い、下痢、血便がある時)この時期の目標は**「腸の安静」**です。腸を通過する時に刺激にならないよう、消化の良いものを摂ります。
① 食物繊維の「質」を変えるテクニック繊維には「水に溶ける優しい繊維(水溶性)」と「水に溶けない硬い繊維(不溶性)」があります。活動期は**「硬い繊維」を避けるか、徹底的に柔らかく**します。食材カテゴリー❌ 避ける・注意(不溶性・硬い)⭕ おすすめ(水溶性・柔らかい)🍳 魔法の調理法(工夫)野菜ごぼう、たけのこ、レンコン、野菜の皮、きのこ類かぼちゃ、大根、人参、キャベツの芯以外「繊維を断ち切る」繊維の方向に垂直に切る、ミキサーにかけてポタージュにする、圧力鍋でトロトロに煮込む。果物パイナップル、ドライフルーツ、皮付きの果物、柑橘類の薄皮バナナ、熟した桃、リンゴ(皮なし)、缶詰の果物「すりおろす・コンポート」リンゴはすりおろすと消化酵素のような働きをします。砂糖控えめで煮るとさらに安心。穀物玄米、全粒粉パン、オートミール、そば白米、お粥、食パン(耳なし)、うどん、そうめん「水分を多く含ませる」お粥やリゾット風(チーズなし)にする。麺類は「くたくた」になるまで煮込む。
② 脂質の「選び方」を変える油は全て悪いわけではありません。「炎症を強める油」を控え、「炎症を抑える油」を摂りましょう。❌ 控える油(n-6系など): サラダ油、マーガリン、ショートニング、マヨネーズ、揚げ物の油。⭕ 積極的な油(n-3系): エゴマ油、アマニ油、青魚(サバ・イワシなど)の脂。調理ポイント: エゴマ油やアマニ油は熱に弱いので、調理後、食べる直前に小さじ1杯かけるのがコツです。2. 具体的なメニューと調理の工夫例【主菜の工夫】 お肉・お魚を食べたい時「お肉=悪」ではありません。部位と調理法で劇的に変わります。OK: 鶏むね肉(皮なし)、ささみ、鶏ひき肉、白身魚(タラ、カレイ)、鮭、はんぺん、豆腐NG: カルビ、バラ肉、ベーコン、ウインナー、イカ、タコ、貝類(消化が悪いため)【レシピ例:ふわふわ豆腐ハンバーグ】鶏ひき肉と、水切りした木綿豆腐を1:1の割合で混ぜます。つなぎに卵とパン粉(少なめ)を入れ、よく練ります。油をひかず、テフロン加工のフライパンで蒸し焼きにします。ソースは、大根おろしポン酢や、和風あんかけ(片栗粉でとろみをつける)で。ポイント: 豆腐を混ぜることで脂質を抑えつつ、ボリュームと柔らかさを出せます。【レシピ例:白身魚のホイル蒸し】アルミホイルに玉ねぎの薄切り(繊維を断つ)を敷き、白身魚を乗せます。彩りに人参の薄切りを乗せ、少しのお酒を振って包みます。トースターやフライパンで蒸し焼きに。食べる直前に「オリーブオイル」や「アマニ油」を数滴たらして風味付け。ポイント: 「焼く・揚げる」よりも「蒸す・煮る」方が、お腹への負担が圧倒的に軽くなります。3. 【青信号】 寛解期(症状が落ち着いている時)この時期の目標は**「多様性の回復」**です。怖がって制限し続けると、栄養不足になり、かえって体調を崩します。
① 少しずつ「試し食べ」を今まで避けていたきのこ類や海藻類も、細かく刻んでお味噌汁に入れるなどして、少量ずつ再開してみましょう。「乳化剤」と「人工甘味料」に注意:コンビニのパンやスイーツ、加工肉などに含まれる乳化剤(CMCなど)や人工甘味料は、腸のバリア機能を弱める可能性があります。対策: なるべく「原材料の形が見えるもの」を選びましょう(例:ハムより豚肉、市販のドレッシングよりオリーブオイルと塩)。
② お腹が張るな、と思ったら?(低FODMAPの考え方)炎症は治まっているのに、お腹が張ったりガスが溜まる場合は、特定の糖質が合っていない可能性があります。小麦(パン・パスタ)、牛乳、玉ねぎ、大豆などを一時的に控え、お米中心の和食に切り替えて様子を見てみましょう。4. 「食べ方」の指導 ~何を食べるかより、どう食べるか~素晴らしい食材も、食べ方次第で毒にも薬にもなります。「噛む」ことが最初の消化活動口の中でドロドロになるまで噛めば、胃腸の負担は半分以下になります。一口30回を意識しましょう。分割食べのススメ一度にたくさん食べると、腸がびっくりして下痢を誘発します。1日3食にこだわらず、おにぎりやバナナなどを間食に取り入れ、**「1回の量を減らして、回数を増やす(1日5~6食)」**のが理想です。フードダイアリー(食事日誌)「これを食べたら調子が悪くなった」という自分だけの犯人を見つけましょう。記録項目: 日時、食べたもの、食べた後の症状(腹痛・ガスの有無など)、その日のストレス度。これにより、漠然とした不安がなくなり、「自分はこれは大丈夫、これは少量ならOK」という自信がつきます。患者様へのメッセージこのガイドはあくまで「目安」です。一番の名医は、あなたの体の声です。「美味しい」と感じ、食べた後に調子が良いものが、今のあなたに一番必要な食事です。迷ったときは、いつでも私たち医師や看護師にご相談ください。