停留精巣(停留睾丸) 睾丸がおりてこない病気

頻度★★★

要点

1歳までにおりてこなければ手術が好ましい
鼠径ヘルニアとの合併が多い

(1) 停留睾丸とは
停留精巣(停留睾丸)とは陰のう(きんたまぶくろ)の中に精巣(睾丸・きんたま)が入ってないことです。男子の先天異常で一番多く予定日出産で3%、早期産ならさらに多くなります。睾丸は、胎児のころにおなかの中で作られ、出産間近に、腹膜鞘状突起という通り道を通って、陰嚢の中におりてきます。出生後もなんらかの事情で睾丸が完全におりてこず、途中で止まってしまう病気です。1歳までにおりてこなければ手術の適応になります。陰嚢は思春期(12~15歳)に精子を作るときに体温より1~2℃低い環境が必要なため、体外に出ているのです。
(2) 停留睾丸の診断は 暖かい状況、湯船につけた後などに触れるとわかります。6ヶ月をこえても精巣(睾丸)を陰嚢内に触れない場合はかかりつけ医に相談されると良いでしょう。2歳までは陰嚢内に精巣を触れないことがあり、これは「移動性精巣・遊走睾丸」です。
(3) 停留睾丸の治療は
なぜ治療が必要か?
①治療により思春期以後の精子の形成能力をよくできる(不妊を防げる
②停留精巣は精巣癌の発生頻度が10倍くらい高いため癌化率を下げる可能性があります。
③治療により生殖器の外観を整えること、これ思春期の男の子には大切な事ですよね。
④停留精巣は通常ソケイヘルニア(脱腸)との合併が多いためこれも一緒に治療できます。
治療方法
手術が一番の治療法です。1歳前後からに手術ができます。精巣を足のつけねにさわれるものはそのまま精巣固定術を、触知できない時には細いカメラでチェックして手術の術式を決めてからソケイ部の切開をおこないます。入院は1泊2日の入院です。傷が小さい割には手術当日は腹痛、吐き気などから食事が上手にとれない場合があるためです。ソケイ部の傷は薄いフィルムで被われており、退院後の消毒や抜糸は不要です。