頭痛の鑑別
要点
頭部の一部あるいは全体の痛みをいい、後頭部と後頚部の境界、眼の奥の痛みも頭痛として扱います。頭皮の外傷や感染などによって生じる頭の一部の表面の痛みは頭痛とはいいません。慢性的に頭痛発作を繰り返す場合に、頭痛症としてあつかいます。

(1)急性頭痛
①バットで殴られた 後頭部に雷が落ちたような 今まで経験したことのない激しい頭痛
+嘔吐・意識障害・片麻痺があることも                         くも膜下出血
②徐々に痛みがひどくなる+吐き気・意識障害・片麻痺                  脳出血
③急に起こる頭痛+著しい高血圧+吐き気・意識障害・片麻痺               高血圧性脳症
④発熱 けいれん 意識障害 頸部硬直(頸がまわらない)                髄膜炎・脳炎
⑤激しい眼痛・充血・目のかすみ 吐き気 嘔吐                     →急性閉塞隅角緑内障
(2)亜急性進行性頭痛
①頭部外傷後 1~2ヶ月かけて 意識障害 片麻痺 失語                →慢性硬膜下血腫
②吐き気、嘔吐、視力障害、意識低下、てんかん、麻痺、性格の変化             →脳腫瘍
③吐き気、嘔吐、意識低下、運動麻痺、感覚障害、けいれん                 →脳膿瘍
④側頭部に拍動性の痛み、ものをかむときの痛み、視力障害                 →側頭動脈炎
(3)慢性頭痛
①主に頭の片側に脈打つような痛み、吐き気・嘔吐、光や音に過敏 →片頭痛
②主に後頭部に圧迫されるような重い痛み、首筋の張り、肩こり →緊張型頭痛
③片側の目の奥や側頭部に激しい痛み、結膜充血、流涙、鼻みず →群発頭痛
④吐き気、嘔吐、てんかん、片麻痺、言語・感覚・視野障害 →脳動静脈奇形
⑤発汗過多、動悸、やせ、便秘、胸痛、視力障害、一時的な高血圧 →褐色細胞腫
⑥一瞬走る強くて数秒の痛み、化粧、ひげそり、洗顔、歯磨きで誘発。触ると痛みが誘発点あり→三叉神経痛
⑦ピリピリした痛み 痛み部分の水疱、発疹→顔面ヘルペス
⑧鼻閉、膿鼻汁、鼻の横の熱感違和感、肩からこめかみにかけて頭重感→副鼻腔炎
⑨不安、緊張、いらいら、肩こり、動悸、めまい、頻尿、下痢、不眠 →全般性不安障害
⑩すっきりしない鈍い頭痛、抑うつ気分、意欲低下、自責の念、思考力低下、不眠・過眠、食欲低下・亢進→うつ病
⑨睡眠時無呼吸症候群
頭頸部筋肉・靱帯の障害、貧血、目や鼻の炎症、ストレス、睡眠不足、薬物、椅子の高さが合っていないなど

 

突然の頭痛
今まで経験したことがない強い頭痛
いつもと様子の異なる頭痛
頻度と程度が増していく頭痛
小児または50歳以降に初発の頭痛
麻痺を伴うを有する頭痛

  • 今までにない強い頭痛
  • 突然の激しい頭痛
  • 痛みが急に強くなる
  • 回を重ねるごとに痛みが徐々に強くなる
  • 発熱を伴う頭痛
  • 手足のしびれがある
  • けいれんを伴う
  • 意識がもうろうとなる
  1. 7.癌や免疫不全の病態を有する患者の頭痛
  1. 8.精神症状を有する患者の頭痛
  1. 9.発熱・項部硬直・髄膜刺激症状を有する頭痛

などが危険な頭痛の可能性があります。

頭痛は日常ありふれた症状の一つです。

特に脳に異常がないのに、頭痛を繰り返すものを慢性頭痛(一次性頭痛)といいます。その代表的なものとして片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛があります。これらはただちに生命の危険はないものの、頭痛を繰り返すことで日常生活に支障が出る場合には治療が必要です。

片頭痛は、頭の片側(時に両側)がズキズキ脈打つように痛むのが特徴です。吐き気がしたり、実際に吐くこともあります。階段の昇降などの日常的な動作で痛みがひどくなったり、音や光、臭いに敏感になります。

緊張型頭痛は、頭が締めつけられるような痛みが特徴です。片頭痛と異なり、動作によって痛みがひどくなったり吐き気をもよおしたり、音や光に対して敏感になることはありません。

群発頭痛は、片側の目の奥や前頭部が激しく痛むとともに、涙が出たり、目が充血したりします。1回の発作は15分〜3時間(多くは1〜2時間)で、数週間〜数カ月の間に頻回に起こります。

頭痛は、あまり我慢せずに早めに薬を使用するほうが効果的です。ただし月に10日以上、頭痛薬を飲むと薬物乱用頭痛が起こることがあります。そのような場合は予防薬を使う必要があります。

いつもと違う頭痛、激しい頭痛が起こった場合は、緊急で受診してください。

痛みの現れる時刻や痛みの程度などを記入した「頭痛ダイアリー」を付けることをお勧めします。

普段の生活で気をつけてほしいこと

  • 規則正しい生活、栄養バランスの良い食事、適度な運動を心がけましょう。
  • 頑張り過ぎずに、リラックスして生活しましょう。

  • 睡眠不足、睡眠過多を避けましょう。
  • 食事を抜かないようにしましょう。

診断へのアプローチ:(身体診察: >詳細情報 ・鑑別疾患: 鑑別疾患 ・危険な頭痛の簡易症状です。自己判断せずかかりつけの先生によく相談しましょう。
動悸は治療可能なものが大半です。命に関わる不整脈もあるので要注意です。

急性頭痛   くも膜下出血

症状 疑われる病気
 生涯で一番頭が痛い  くも膜下出血

 

 

急性頭痛

症状 疑われる病気名
生涯で一番頭が痛い くも膜下出血脳出血
著しい血圧の上昇 高血圧性脳症
発熱、けいれん、意識障害、項部硬直 髄膜炎・脳炎
激しい眼痛、充血、目のかすみ、吐き気、嘔吐 急性閉塞隅角緑内障

亜急性進行性頭痛

症状 疑われる病気名
頭部外傷後1~2カ月ののち、意識障害、片麻痺、失語症 慢性硬膜下血腫
吐き気、嘔吐、視力障害、意識低下、てんかん、麻痺、性格の変化 脳腫瘍
けいれん、嘔吐、意識障害、運動麻痺、感覚障害 脳膿瘍
側頭部に拍動性の痛み、咀嚼筋の痛み、視力障害 側頭動脈炎

慢性頭痛

症状 疑われる病気名
主に頭の片側に脈打つような痛み、吐き気・嘔吐、光や音に過敏 片頭痛
主に後頭部に圧迫されるような重い痛み、首筋の張り、肩こり 緊張型頭痛
片側の目の奥や側頭部に激しい痛み、結膜充血、流涙、鼻みず 群発頭痛
吐き気、嘔吐、てんかん、片麻痺、言語・感覚・視野障害 脳動静脈奇形