発作性上室性頻拍
要点
突然速くなり動悸を感じる不整脈の最多 心室より上の上室(洞結節・心房・房室結節・)に正常と違う刺激経路ができ短い周期で頻拍が起こる病気
(1)発作性上室性頻拍とは
あっ いま というような突然脈拍数が速くなり(150~230)動悸を感じる不整脈で最も多いのが発作性上室性頻拍です。脈拍が200を超えると息苦しさ、めまい、吐き気などを伴うこともあります。命に危険を伴う不整脈でなく、急を要する治療を必要としませんが、繰り返し症状が現れる場合や生活に支障が出るほど強い症状が現れる場合には治療(薬による予防、カテーテル治療等)を行う必要があります。
(2)発作性上室性頻拍のポイント
発作性上室頻拍とは、洞結節、心房組織と房室接合部(副伝導路等)が原因の頻脈性(脈が速くなる)不整脈で、房室回帰性頻拍、房室結節回帰性頻拍および心房頻拍によるものがあります。
発作性上室頻拍の約9割は、房室回帰性頻拍か房室結節回帰性頻拍です。
発作時の12誘導心電図で不整脈の診断は可能ですが、詳しくはは心臓電気生理検査が必要です。
カテーテル検査による心臓電気検査は同時にアブレーションという異常伝導路を焼き切ることができます。
はっきりとしたWPW症候群なら、非発作時の12誘導心電図で副伝導路が推定できます。
また発作性上室性頻拍とパニック発作との同時に起こっていることもよく知られています。
WPW症候群合併例かどうか 心房細動/心房粗動の既往があるかどうかをかかりつけ医に確認しておきましょう。
(3)発作性上室性頻拍の治療
〔治療の基本方針〕
発作の停止と予防.ほとんどの発作性上室性頻拍はアブレーション(カテーテルでの伝導路遮断)で根治可能であり,薬物治療は発作の停止が中心です。
1)房室結節リエントリー:AVNRT
2)房室リエントリー(副伝導路が関与する):AVRT
3)洞結節リエントリー:SANRT
4)心房内リエントリー:IART
5)心房内異所性自動能亢進
【処方例】
A.発作の停止
緊急性(心不全など)があればDCショックや高頻度ペーシングなどで治療します。
通常はまず下記の
1.迷走神経刺激法:抗不整脈薬使用の前に試みます。
(1)Valsalva法(息をこらえる)
(2)嘔吐反射誘発法
(3)Czermak法(頸動脈洞マッサージ)
(4)顔面浸水法(冷水に顔をつける)
2.抗不整脈薬の静注
●副伝導路が関与しない場合.
①ワソラン ⇒ 5mg 静注
②アデホス ⇒ 10mg(素早く静注)
●WPW症候群合併例で心房細動/心房粗動の既往がある場合の副伝導路抑制には抗不整脈薬の注射を使用します。
③タンボコール ⇒ 50~100mg 静注
④サンリズム ⇒ 1mg/kgを10分かけて静注
3.抗不整脈薬の頓服
⑤サンリズム ⇒ 100mg 1回頓服
B.発作予防
頻発するときにはカテーテルアブレーションによる治療がおすすめです。アブレーションを望まない場合には房室結節の伝導抑制のためβ遮断薬、Caチャネル遮断薬、ジギタリス製剤を使用します。WPW症候群で心房細動、心房粗動の既往があるときにはこの薬剤は禁忌であるので注意が必要です。きちんと医師に不整脈の病歴や病歴を伝えましょう。
発作のために日常生活に支障が起きるような場合には、カテーテル治療が奨められます(90%以上で根治可能)。
自覚症状が現れたときに心電図を記録できれば、診断は可能です。
治療には、薬物療法と頻拍にかかわる組織を焼き切るカテーテル治療(カテーテルアブレーション)があります。薬物療法は発作を予防あるいは停止させるために用いられます。根治にはカテーテル治療が有効です。
発作に見舞われたときには、まず安静にして転倒しないように十分に注意してください。
息をこらえたり、冷たい水に顔をつけたりすると発作が治まることがあります。
発作が治まらない場合は近くの医療機関を受診し、心電図をとってもらい適切な処置を受けてください。
発作時に気を失いそうになったときは、自分で動こうとせずに救急車を呼びましょう。
- 発作により日常生活が制限されるような場合にはカテーテル治療が有効です。近くのかかりつけ医から治療可能な
病院を紹介してもらいましょう。またカテーテル治療がいやなときにも起こりにくくする事も可能ですので受診しましょう。
- 寝不足、過労を避けましょう。不整脈を誘発します。
- カフェイン入りの飲み物・健康ドリンクや食べ物を過度に摂取したり、アルコールの飲み過ぎも不整脈の原因となります
- 動悸が現れても命に別状はありません。無理して動かずなるべく安静を保ちましょう。医師に相談すれば発作の時に止めるくすりを処方してもらうことができます。