逆流性食道炎
頻度★★★★
要点
胃食道逆流症(GERD)とは、胃酸などが、胃から食道に逆流することによって発生する食道の炎症性疾患です。逆流症状(胸やけ、呑酸など)を有するが食道粘膜傷害を認めない非びらん性胃食道逆流症(NERD)と、食道粘膜傷害を有する逆流性食道炎(逆流症状の有無は問わない)に分類されます。

(1)胃食道逆流症(非びらん性胃食道逆流症、逆流性食道炎)とは
 胃食道逆流症(GARD)の定義は
胸焼けあり 食道粘膜障害なし →非びらん性胃食道逆流症(NERD non-erosive reflux disease)
胸焼けあり 食道粘膜障害あり →びらん性胃食道逆流症s-ERD (RE reflux erophagitis 下二つが逆流性食道炎)
胸焼けなし 食道粘膜障害あり →びらん性胃食道逆流症as-ERD (RE reflux erophagitis)

(2)逆流性食道炎の症状は
  症状(胸やけ、呑酸)が胃酸逆流による症状であるかを疑います
食後に発生、過食時や早食い時に発生、高脂肪食摂取時に発生、急激な前屈姿勢咳嗽時、締め付けた服装時に発生する胸焼け
症状、飲水・制酸薬での症状の改善、は胃酸逆流による症状です。咳が止まらない原因のひとつに逆流性食道炎もあります

(3)逆流性食道炎の診断
  内視鏡所見にて食道粘膜傷害は逆流性食道炎と診断される。
Los Angeles改分類(LA改分類)
胃食道接合部の孤立性の粘膜傷害はgrade A(5mm未満)またはB(5mm以上)
胃食道接合部の連続性の粘膜傷害はgrade C(75%未満)またはD(75%以上)

(4)逆流性食道炎の治療
 治療の基本はプロトンポンプ阻害薬(PPI)の内服です。まず8週間投与し、8週間投与後は一度PPIを中止してみます。休薬後、症状が
再燃する場合にはPPIでの維持療法が必要です。また、食道病変および胃の定期的観察を含め年1回の観察をおすすめします。
常用量のPPIで効果不十分な場合には、消化管運動機能改善薬、漢方薬(六君子湯)などを併用します。

(5)逆流性食道炎の出題傾向
 逆流性食道炎に関しての国試、認定医、専門医試験では 慢性咳嗽あり カルシウム拮抗剤で症状悪化 プロトンポンプ阻害薬有効などがあります。

(5)逆流性食道炎のケアのポイント

逆流性食道炎は、食道内に過剰に酸が発生し、酸に曝露されて生じる病気です。

典型的な症状は胸焼けと酸っぱい液が口にまで上がってくる呑酸(どくさん)です。

上部消化管内視鏡検査を受けた患者さんの10~15%に見られ、近年増加しています。

NERD(非びらん性胃食道逆流症)は食道粘膜の傷害を認めないものの、胃酸を中心とした胃から食道への逆流により胸やけを引き起こす病気です。

逆流性食道炎の食道粘膜傷害は胃酸を抑制することによって軽快します。第一選択薬のプロトンポンプ阻害薬(PPI)により、軽症の場合はほとんど治癒します。重症の場合でも80~85%は治ります。

NERDの場合も、PPIを内服することにより、約半数の患者さんの症状を改善します。残りの半数の患者さんは、胃酸以外の逆流として、食道運動異常症、好酸球性食道炎、精神心理学的要因などが考えられます。

薬が合わないときは再度受診して相談しましょう。

自己判断で薬を減らしたり中断したりしないように注意しましょう。

普段の生活で気をつけてほしいこと

  • 暴飲暴食、高脂肪食、就寝前の食事を慎み、肥満を回避しましょう。